発見が遅れがちな「卵巣がん」こそ、進んで検診へ!女性特有のがんには
卵巣がんもあります。それほど頻度は高くなく、患者数統計の上位には上がっていません。が、卵巣がんは見つかりにくく、見つかったときには怖い
サイレントキラーです。
卵巣は、さまざまなタイプの腫瘍ができる臓器。85%は良性腫瘍ですが、中には悪性腫瘍もあり、その判別が難しいもの。卵巣がんは早期発見が難しく、痛みもなく大きくなり、腹水が溜まっておなかが張ることでやっと気づく場合が多いため、進行するまでなかなか見つからないケースがほとんどです。
しかも、卵巣がんは乳がんとともに
家族歴がリスクファクターとなる病気。近い親類(母親、姉妹など)が卵巣がんになった人は、同じく発症するリスクが高くなります。また、若い年齢で家族が卵巣がんと診断された場合はさらにリスクが高まります。
【卵巣がんのリスク要因】
●家族に閉経前乳がん、卵巣がんになった人がいる
●妊娠回数が少ない
●出産経験がない、または少ない
●授乳経験がない、または少ない
●乳がんを経験した
●肥満
●排卵誘発剤の使用
●ホルモン補充療法の長期使用
など
「
家族歴が当てはまる人は、
30代になったら必ず一度は
卵巣がん検診を受けていただきたいです。でも、残念ながら卵巣がんは、厚生労働省によるがん検診の対象にはなっていません。
卵巣は骨盤の奥深くに位置することから、痛みを感じにくく、しこりや腫瘍ができても気がつかず、
自覚症状がなかなか現れないんです。
進行するとかなり
大きくなって、周囲の臓器を圧迫するほどの大きさに
腫れることがありますから、他の部分は太らないのに
腹部だけがぽっこりふくらんでいる、腹部に
圧迫感がある場合などは、検診ではなく、婦人科を受診することをおすすめします」(島田先生)
卵巣がんの検診は、
内診と経膣超音波で行われます。卵巣は外部と接触していないため、子宮のように検査器具を挿入し、細胞や組織を採取する病理検査は行うことができません。
内診は、腟内に片方の手指を挿入し、もう片方の手をおなかの上に置き、子宮と左右の卵巣の大きさや形、位置、腫れの状態などを診ます。超音波検査は、細長い器具を腟内に挿入し、子宮内や卵巣のようすを至近距離から映像で見ることができます。これは、卵巣がん検診だけでなく婦人科では日常的に行われる検査です。
「卵巣がんの検査は単独ではなく、
『経膣超音波検査』として女性検診メニューに入っていることが多いものです。これは、卵巣がんだけでなく、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など、子宮と卵巣を両方診てもらう検査。通常はこれで十分だと思います。婦人科では、子宮がん検診と経膣超音波検査がセットになっている検診メニューもあるので、アラフォーになったら一度はこれを受けることをお勧めします」(島田先生)