ホーム コラム > ネガティブだから願いがかなう? 心理学的「ネガティブ・ポジティブ」上手な付き合い方

ネガティブだから願いがかなう? 心理学的「ネガティブ・ポジティブ」上手な付き合い方


?alyssa−stock.adobe.com


頭のなかで考えていることは、現実世界でも起こりえるという「引き寄せの法則」をご存知でしょうか? 「こうなったらいいな」と日ごろから思い続けていると、それが現実化する法則で、実践している人も少なくありません。

なんだかスピリチュアルな話のように思えますが、実は、心理学的にもこれは理にかなっています。人は「こうなればいいな」と一心に思い続けていると、無意識のうちに自分の願いがかなう方向を選び行動するため、実現する可能性が高くなるとか。

けれど、その一方で「毎日こうなればいいと願っているのに何も変わらない」という人もいます。どうして、同じように思い続けているのに、願いがかなう人とかなわない人がいるのでしょうか? その理由のひとつに、「ネガティブ思考は悪」という強い思い込みが邪魔をしている場合があります。

■「ネガティブ思考はダメ」という思い込みを捨てる

イヤなことがあった時、皆さんはどう感じますか? とことん落ち込む、気分転換をする、原因を考える…。人によって、いろいろな感じ方がありますが、なかには「そんなイヤなことなんて考えてはダメ。いつもポジティブでいなければ」と考える人もいます。

ポジティブは「いつでも前向き」、反対にネガティブは「暗くて後ろ向き」。そんなイメージがありますよね。どちらがいいかといえば、ポジティブであるほうがいいに決まっています。しかし、人は「イヤなことを考えてはいけない」と思えば思うほど、実はそのネガティブな感情に縛られ続ける生きものです。

「今の状況は理想ではない」→「やっぱりうまくいかない、ダメだ」→「いや、そんな風に思ってはいけない! ポジティブに考えなくては」と思うほど、「うまくいかない、ダメだ」と感じている部分が心の中でクローズアップされていくのです。

前述した願いがかなう人とかなわない人との分かれ道は、まさにそこなのです。

ポジティブになろうとするあまり、ネガティブな思い(「うまくいかない、ダメだ」)をよけいに強化してしまっているのです。ネガティブな思いを無視して、「良いことだけ考えていればうまくいく」という他力本願なポジティブ思考は、理想からどんどん離れてしまうのではないでしょうか。

この世にネガティブな部分がまったくない人はいません。後ろ向きなネガティブ思考を頭から否定するのではなく、その本質を見つめて「仕方ないよね」と認めることが大切です。「私は今、ネガティブになっている」と認め、そこからどうするかを考えて、初めて次の一歩へと進めるわけです。

ネガティブになるのは仕方のないことで、必ずしも悪いことではない。「ネガティブ思考はダメ」という思い込みを捨ててみると、グンと気持ちが軽くなり、次のステップへ進むことができるでしょう。

■ネガティブになる状況「で、どうする?」が好転のチャンス

ネガティブになるのは現状を「良くない」ととらえられているからこそ。裏を返せば、ネガティブ思考になっている今は「成長の伸びしろ」「成長するチャンス」と置きかえることもできます。

例えば、上司から「文句ばかり言われてイヤだなあ」と感じているとしましょう。こういうタイプの人には、どう対応するのが良いのだろうと考え、少し対策を練ってみます。すると、その行動は少なからず自分の対人スキルにつながっていくはずです。

また、夫に対して「もっと仕事で成果をあげてほしい」と思うなら、どんなサポートが夫の意欲を引き出すのかを考えてみます。お茶でも出してゆっくり話を聞いてあげれば、気持ちに余裕を持ってもらえるかも。そう考えるだけで夫への接し方が変化し、夫婦関係の安定につながることもあるかもしれません。

逆に、「どうするか」の方法の一つに、この問題にこれ以上かかわらない、あるいは一定の距離や時間をおくという考えもあります。待つ、逃げる、否定を認めるというのは、マイナスイメージを持たれがちですが、あくまでも手段のひとつ。ネガティブな行動ではありません。
 
 


■「自分に必要なものは何か?」ポジティブ思考との付き合い方

?blanche−stock.adobe.com


ネガティブの逆といえば、ポジティブ。では、ポジティブ思考とは、どのように付き合っていけばいいのでしょうか? まずは第一に、「すべてにおいてハッピーに」を目指す必要はないと考えましょう。

例えば、誰でも他人からは「好かれたい、良い人と思われたい」と願うでしょう。でも、万人に対して「良い人」になるのは現実的にとても難しいものです。「誰にとって」良い人なのかによって、良い人の定義は180度変わるからです。

例えば、先日亡くなった野村沙知代夫人を例に挙げてみましょう。悪妻の代名詞のように言われた彼女ですが、夫の野村克也さんにとってはまったく違いました。世界中が敵に回ったとしても、唯一自分の味方でいてくれる、かけがえのない存在だったのではないでしょうか。

同じように部下から「頼りがいがない」と思われていても、子どもから見たらとことん遊んでくれる「良いパパ」であったり、上司から「融通がきかない」と思われていても、友人からは「信頼できる良い人」と思われていたり。万人に良い人であろうというのは、無理が生じるわけです。

それは、ポジティブ思考にも通じます。100%ハッピーなポジティブ思考でいようと思うと、正直疲れますよね。自分は一番、何に対してポジティブでありたいのか。そこさえおさえておけば、すべてハッピーを目指す必要はありません。自分にとって必要なものに、ハッピーであれば良いと私は思います。

■子育て・夫育てに応用できる「ネガティブ・ポジティブ」

自分の中のネガティブ思考、ポジティブ思考を見つめ、理解し、コントロールできるようになれば、子どもや夫との関係にも生かすことができるでしょう。

例えば、子どもには良い学校に進学してもらいたい、夫には出世してほしい、もっと夫婦仲を深めたいといった理想があるとしましょう。でも、今はその理想とはほど遠い状況。となると、不満は募りますよね。そういった場合、「今は理想に向かっている過程、その途中にある」と見方を変えてみるのです。すると、未来を心配してネガティブ思考におちいる心配もありません。

逆に、「夫や子どもがネガティブ(ポジティブ)思考なんですが…」というご相談を受けることもあります。わが子が「どうせできないよ」「僕はダメなんだ」といったネガティブ発言が多ければ、まず「そうか、そうか」と受けとめてあげてください。そして「大丈夫」「私は応援するよ」と声をかけ、自信を持たせてあげてみましょう。「私はいつでもあなたの味方だよ」ということを伝え続けることです。

反対に「どうにかなるよ!」と常にポジティブ思考の夫というのも、逆に心配ですよね。「そうだね」「すごいね」と受けとめながらも「こうなる可能性もあるんじゃない?」と、それとなくリスクや注意すべき点をあげましょう。夫の考えを否定せず、あくまでも一つの考え方として提案すれば、夫も受け入れやすくなります。その言葉に反応してもらえれば、思わぬ失敗を未然に防ぐこともできるかもしれません。

インスタグラムやブログなど個人発信のSNSなどを見ると、全員が全員、100%幸せでキラキラなポジティブライフを送っているように見えますよね。でも、見えているのはほんの一部だけで、実際はどうなのか誰もわかりません。そういった他人のキラキラアピールに飲み込まれて、不安になる必要はないのです。

ネガティブ思考は決してダメなことではなく、ポジティブとは表裏一体。だから、どちらの思考にかたよっても、決して恐れる必要はありません。そう心の隅にとめておくだけで、ポジティブ思考に固執することも少なくなるのではないでしょうか。
 
 

 
 
(佐藤栄子)

Facebook

関連記事

あなたにおすすめの記事

P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ