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年末年始の暴飲暴食対策で必ず話題になる「梅流し」、専門家に聞く“正しい実践方法”と“懸念点”

2022-12-19 07:30 eltha

 大根と梅干を一緒に煮て食べることでデトックス効果があるとされる“梅流し”。自宅で簡単に作ることができるため、とくに食べ過ぎ飲み過ぎになりがちな年末年始に実践する人が増加。毎年、ネット上には「腹痛にならずに便秘が解消した」「宿便が出た」「肌荒れが改善した」などの声が上がり、話題となっている。“梅流し”にはなぜデトックス効果があるのか、自宅で行うときはどんなことに注意すればいいのか。美容と健康により効果的な実践法を紹介するので、年末年始の腸の大掃除に役立ててほしい。

大根の煮汁に梅干しを加えた「梅流し」

大根の煮汁に梅干しを加えた「梅流し」

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■善玉菌まで流してしまうから多用は禁物

 話を聞いたのは、病院での栄養指導や配食サービスでの献立開発に当たっている管理栄養士の高橋麻里さん。まず、梅流しにはなぜ、デトックス効果があるのかについて、こう説明してくれた。

「梅流しの主な材料は、大根、梅干しですが、大根は成分の95%が水分で、また食物繊維が多く含まれているため、便を柔らかくし、排せつを促す作用や腸内環境を整える効果があります。また、梅干しにはクエン酸が多く含まれていて、腸を刺激し、便の排泄を促す作用があります。この2つの食材を一緒に食べることで相乗効果が生まれるのが梅流しの特徴です」

 人によっては食べている途中からおなかがグルグル鳴り始め、便意をもよおすというくらい効果てきめんの梅流し。だが、病院での栄養指導の経験もある高橋さんは、まず、実践にあたって、こう注意する。

「これがいいと話題になると、その食材やメニューばかりを食べ続けてしまう人が多いので、梅流しについてもそれを懸念しています。とくに梅流しは、頻繁に行うと、腸内の老廃物や悪玉菌だけでなく、善玉菌まで洗い流してしまい、余計、体調が悪化する原因となります」

 近年、美容と健康に大きな影響を及ぼすとして“腸活”が話題となっているが、「ダイエット効果がある」「宿便が出る」という言葉に魅かれて梅流しを多用すると、腸活のために必要な善玉菌までも失うことになるというのだから注意が必要だ。

「梅流しは、食べ過ぎたときのリセット法としても効果を発揮しますが、食べ過ぎてしまったとしても、胃腸の調子が良いならば、腸内環境が整っている証拠ですので、行わないほうがいいと思います」

 腸内のバランスが崩れている判断としては、便秘や下痢、吹き出物が出た場合など。ただし、「まずは月に1回、多くても週に1回。また、いきなり1日梅流しだけという食生活にするのは体に負担がかかるので、まずは1食を梅流しに置き換える方法をとっていただきたいと思います」と高橋さんはアドバイスする。

■大根は皮ごと使う「食物繊維は皮付近に多く含まれている」

 梅流しの作り方はいたって簡単。昆布出汁で大根と梅を煮るだけだが、デトックス効果を高めるためには、気をつけたいポイントがある。

「大根は皮に食物繊維が一番含まれているので、皮付きのまま使ってください」

 大根の代わりに、ほぼ同じ成分を持つカブを用いるのも良いそう。もちろん、カブも皮つきで。味変したいときに試してみるといいだろう。

 梅流しで出汁に昆布を使うのは、断食明けの最初の食事として使われてきたことに由来する。鰹出汁や煮干し出汁といった動物性の出汁は胃に負担がかかり、断食後の回復食には適さないためだ。昆布で出汁をとるのは面倒くさいと感じる人もいると思うが、「昆布には水溶性の食物繊維が含まれていますが、だしとして残るのはごくわずかなので、極端な話、使わなくてもかまいません」と高橋さん。

「味が足りなかったら味噌をつけるといいと思います。味噌にも食物繊維が含まれていますし、免疫力を高める効果もあります」

 梅干しについては、はちみつ漬けや塩の多いものは避け、自然塩のものを使用するのがベター。梅干しは古来から「医者いらず」と言われ、薬用として重用されてきたが、焼くとより効果が高まるとも言われている。

「梅干しには血流を良くして体を温めてくれるムメフラールという成分が含まれていますが、焼くとその効果がより高まると言われています」

 手間が面倒でない人は試してみるといいだろう。逆に、梅流しを作ること自体、面倒くさいという人には、こんな簡単な方法を伝授してくれた。

「梅流しが面倒な人は、白湯に梅干しを入れて潰しながら飲むだけでもいいと思います。それだけでも十分、クエン酸が取れて、デトックス効果が得られます」

■梅流しの賢い実践法

 次に、食べ方について、デトックス効果を高めるため、また安全に行うために、高橋さんは4つのアドバイスをくれた。

(1)満腹時は避ける
「満腹の状態で食べてもあまり効果が得られないので、朝行うのであれば、前日の夜は控えめにする、夜置き換えるなら朝昼を控えめにするといいでしょう」

(2)まずは煮汁から
「まずは、煮汁を飲み干してください。洗剤のような役割をもつ梅のクエン酸をまずは腸に流し、その後、大根を食べることで、食物繊維がブラシの役割をして、老廃物を洗い流してくれます」

(3)休日の日に行う
「食べてから便意をもよおすまでの時間は、食べている最中から腸が動き出す人もいれば、夜食べて、翌朝、便意をもよおす人など、個人差があります。いつ便意をもよおしても、落ち着いてトイレに入れるよう、外出のない日に行うといいでしょう」

(4)梅流しの後は、刺激物を避ける
「梅流しを行った後は、吸収が高まっている状態です。香辛料や炭酸などの刺激物は胃腸に負担をかけますし、添加物などの身体に良くないものも吸収してしまうので、摂取は控えてください」

■梅流し以外、年末年始の食べ過ぎ飲み過ぎリセット法

大根の煮汁に梅干しを加えた「梅流し」

大根の煮汁に梅干しを加えた「梅流し」

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 ところで、冒頭の高橋さんのアドバイスにもあったとおり、食べ過ぎても胃腸の調子が悪くない=腸内のバランスが崩れていないと思われるときは、梅流し以外、どのようなリセット法を行なえばいいのだろう。

「食べ過ぎてしまった分は、その後、24時間から48時間後に脂肪に変わります。ですから、その間に、次の食事の量を減らして帳尻を合わせることが大事です。食べ過ぎたからといって、その時間内に何も食べないと、身体は防衛本能から、次に食べたものを一気に吸収してしまうので、食事を抜くのはお勧めしません。あとはお水をたくさん飲んで、排せつを促すといいと思います」

 よく言われることだが、体の機能を健やかに保つためにはバランスよく食べることが何より大事。食べ過ぎ飲み過ぎの後も、量を控え、2〜3日で調整することだ。

 あとは、食事会の際のこんな注意点を教えてくれた。

「よく言われているように、野菜類などの食物繊維を先にとると、血糖値の急激な上昇を抑える効果が得られるので、一気に食べたものを吸収しなくなります。お酒に関しては、脱水が一番、心配ですので、お水をたくさん飲むようにしてください」

 食事時間や食事の量をコントロールしにくい年末年始。食べ過ぎや飲み過ぎが気になったときは、自分の胃腸の調子にしっかり耳を傾けて、梅流しを上手に取り入れながら、リセットしよう。

■梅流しの材料(1人分)
・大根1/2本
・梅干し(中くらいの大きさ)2個
・だし用昆布15g(なくてもよい)
・水1.5リットル

■梅流しの作り方
(1)昆布の表面についた汚れを、布巾等でふき取る。
(2)鍋に昆布と水に入れ、しばらく置く。できれば前の晩に冷蔵庫に入れておくとよい。
(3)大根はよく洗い、皮は剥かずに食べやすい大きさに切る。小さく切ったほうが煮る時間は少なくて済む。
(4)(2)を中火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り出す。
(5)(4)に大根を入れ、中火で煮る。
(6)梅干しは成分が出やすくするために、実をほぐし、つぶしておく。
(7)大根が竹串がすっと入る程度に柔らかくなったら、(6)を入れて、さらに5分程度煮る。

PROFILE
高橋麻里/管理栄養士。総合病院やクリニックで多数の栄養指導経験があり、現在は外食企業で高齢者向けのお弁当の献立開発を行う。



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