ママなのにゲーム? “育児放棄”のレッテル…「ゲームは悪ではない」伝えたい思い
2023-05-30 08:40 eltha
■ゲーミングパソコンの操作に必死「初めてのめり込んだ趣味がPUBGでした」
――みゆちぇるさんは幼い頃からゲームをされていたのですか?
「私がゲームを始めたのは22歳の頃でした。小さい頃からゲームをしていたわけではなく、ここまでやり込んだゲームはPUBGが初めてというくらい…かなり特殊かもしれません(笑)。自分の好きな配信者がPUBGをやっているのを見て、『私も混ざりたい』『一緒に楽しくゲームをしたい』と感じてゲーミングパソコンを購入し、もう毎日PUBG漬けという感じでしたね」
――なぜPUBGに熱中したのでしょうか?
「PUBGは、敵と戦って自分や自分のチームが最終的に生き残っていれば勝利というゲームです。これはほかのFPSゲームもほとんど変わらないですが、単純に見えて考えることがたくさんあってすごく奥深いんです。
例えば、PUBGは飛行機で空を飛んでいるところからスタートしますが、飛ぶ空路が毎回変わります。敵とかぶらないところに降りようとか、色々考えながら降下しなければいけません。武器や防具もさまざまなところに落ちていて、勝つための装備や自分好みの装備を集めていきます。徐々に狭まっていくプレイエリアがあり、そのプレイエリア内に移動しながら有利に戦えるポジションを奪い合うことも必要です。勝つためにやらなきゃいけないことがたくさんあって、それも毎回プレイごとに変わるので、すごく奥が深い。どんどんのめり込んでいきましたね」
――ゲーミングパソコンの操作方法に戸惑うことはなかったですか?
「ある配信者さんが、手元配信をしていたんですよ。それを見たときに、自分が見たこともないキーボード操作をしていて…キーの操作に加えてマウスを使って視点移動をしたり敵に向かって銃を打ったりとかもして、サイドボタンやスクロールボタンも使ってプレイしているのを見て、『何これ?こんなのどうやって覚えるの?』って感じでした(笑)。
どこのキーに何があるかわからなくて、見よう見まねで。徐々に自分の操作しやすいキーの位置にボタンを持ってきてプレイをするようになりました。そこからはもう何度もプレイしていくなかで、慣れで覚えていった感じです」
ーーゲームをする時間は、みゆちぇるさんにとってどのような時間でしたか?
「それまでは何か一つのことに熱中した経験がなくて、初めてのめり込んだ趣味がPUBGでした。PUBGをやり始めたと同時に配信も本格的に始めましたが、私が徐々に慣れてうまくなっていく過程を視聴者さんも見ているので、自分の努力に伴って視聴者さんもどんどん増えていきました。自分が頑張れば配信も徐々に伸びていくと感じて、視聴者さんやフォロワーさんが増える度に達成感を感じていました」
■仕事、家事、育児で減る自由時間「夫婦の状況を理解し合って、バランスをとる」
「妊娠をしたときはつわりもあって、配信頻度が週1回とか2回の頻度まで落ちて…。それまでは仕事が終わった後ほとんどの時間をゲーム配信で過ごしていたんですけど、単純にゆっくり寝ることに時間使いたいと思うようになりました。ゲーム配信ではない時間の使い方を久しぶりにしてみたときに『こういうゆっくりした時間もいいな』と感じるようになったんです。産後育児で疲れていて、自分の自由時間もかなり減ってしまっていました。
自由時間が少なくなったことで、時間を使う優先順位はかなり変わりました。もちろん子どもが第一優先です。残りの時間は、配信のためにゲームするのではなく、気の合う友達とゲームするにあてたほうが、今の自分の心にとっては必要なのかも…とも考えて」
――時間の使い方の優先順位が変化したんですね。
「当たり前なんですけど、ゲームを優先する親にはもちろんなりたくなかったですし、自分が配信をしていて人に見られる立場である以上、ゲームを優先していると『なんだあの人は?』となってしまうので。子どもを持つ責任・親としての責任をすごく考えました」
――家事・育児・ゲームのバランスをどのように取っていますか?
「夫は今は引退していますが、結婚した当初はプロゲーマーだったんです。その頃から仕事は正社員として働いていたので、仕事の傍らプロゲーマーという感じでした。保育園の送り迎え、家事全般を平日は基本的に私がやっているのですが、夫と子どものコミュニケーションの時間が少しでも確保できるように、お風呂と寝かしつけを夫にお願いして、それ以外は私がなるべく担当するようにしています。私は今年の4月から復職しているので、平日は仕事もあり、配信も続けています。PUBGのパートナーでもあるので、イベントに参加する時は子どもを見ていてほしいと夫にお願いします。夫もゲーマーなので、お互いの状況を理解し合って、バランスをとるようにしています」
――家庭がうまくいってこそゲームの仕事も進められる?
「はい、そうです。子どもを幸せにしていくためには夫婦がうまくいっていることが前提であり、一番優先すべきは家事育児、家のことなので、そこをまずしっかりやって、余った時間でゲームというのは意識しています。今、配信頻度は週1〜2回程度です。仕事と家事育児で疲れているからこそ、夜の貴重な自由時間は気軽に楽しみたいという気持ちがすごく大きくて。友達とゲームする時間が増えたことで、配信頻度は落ち着いています」
■「夜、一緒に寝てあげないの?」心無い声、“育児をさぼりがちな母親”のレッテル
――夜泣きがあり、配信が終了することも。仕事や家事育児をするなかで、ゲームをプレイする制限がかかっていると感じるときはありますか?
「夜寝ているときも子どものそばにずっといてあげたほうがいいから、ゲームはできないっていう制限をかけることはなくて。それ以外の家事育児、仕事さえちゃんとしていれば、子どもの寝ている時間であればゲームをしていいとも思うので、あまり制限をかけることはないです。ただ、夜泣きで配信が終了したり、ゲームを中断したりすることはありますね」
――仕事、家事、育児と目まぐるしい生活のなかで、なぜゲーム配信を続けられる?
「やっぱり“恩返し”という部分が大きいです。大好きなPUBGだけを一生懸命ずっとプレイしていたことで、22歳から本格的にゲームに触れた私が公式のパートナーになれました。私が少しでも配信をすることで、今までPUBGをあまり知らなかった人が知るきっかけになるかもしれないし、興味を持ったり、実際にやってみようと始めるきっかけにもなるかもしれない。少しでもゲーム界隈が盛り上がればいいと思って配信を続けています」
――配信をするなかで、アンチの声が耳に届いた経験はありますか?
「はい、たくさんあります。私は顔出し配信をしているので、容姿に対しての誹謗中傷は特に多いです。ある程度覚悟していたものの、実際ショックでした(笑)。でも、私のことを好いてくれる人のために顔出し配信をしているわけだから、別にやめる必要はないなと。どんな業界においてもすべての人に受け入れてもらえるわけではないでしょうし、批判されることも、ある程度は仕方がないと思っています」
――たとえ仕事であったとしても、ゲーム=遊びという感覚は、まだまだ日本の親世代の方たちが持っている感覚ではあると思います。みゆちぇるさんが実感することは?
「私は『今日は〇〇をしていました』とよく発信するほうなのですが、もちろん全部を書いているわけではありません。でも周りの人は表面的な部分しか見えていないから、“ゲームばかりをしている母親”と見えることも多いみたいで、『ずっとゲームばっかりしていて、子どものことを見ているの?』とか『夜、一緒に寝てあげないの?』と言われることもあります。少しでもゲームをしていると、育児をさぼりがちな母親に見えやすいみたいです」
――みゆちぇるさんは、その時どう感じましたか?
「最初は、なんでこんなこと言われなきゃいけないのという気持ちにもなりました。だけど、自分のことは自分にしかわからないし、自分さえしっかり育児をやっていれば、別に外が何を言っていてもいいんじゃないかって。周りの意見を気にしていたらキリがないですし、気持ちが落ちて育児にも影響してしまうので、考えないようにしています。人それぞれ考え方も意見も違うと思うので、それはその人たちの考え方、私たち家族はこういう考え方というスタンスで分けています」
――みゆちぇるさんが配信を続けていくことで、ほかの配信者さんたちの希望になる部分もあるのかなと感じました。
「たぶん私も昔は『ママなのにゲームをしているの?』と考えてしまっていたと思います。でも、実際に自分が母親になって、別にゲームをすることはまったく悪いことではないし、家事や育児など、ちゃんとやることをやっていれば、それ以外の時間は別にゲームだろうがなんだろうがしていても悪いことではないと感じるようになりました。私がママになっても、配信やゲームをしていることによって、ほかの人も別に悪いことではないと思ってもらえる心の拠りどころになれたらいいなと思います。同じ環境の人がいるんだと思ってもらえたらいいなと感じます」
――今後は配信者としてどう活動していきたい?
「ママだからゲームをしてはいけないと思っている人などに、別にゲームをしても悪いこではないと気づいてもらえるきっかけになれたらという思いは強いです。今はPUBGパートナーとしてプレイしているので、その奥深さをいろんな人に伝えていきたい。配信者としても、自分の子どもに見せられるものを届けていきたいです。人に見られて恥ずかしくない配信じゃなきゃいけない。これからも頑張って配信していきたいと思います」