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大人ニキビの原因とは? 対策の手順を医師が解説「“ニキビを治す”は古い考え方」

2021-05-29 eltha

丁寧にスキンケアしているのに、なぜニキビができる? 理由を解説

丁寧にスキンケアしているのに、なぜニキビができる? 理由を解説

 マスクを着用するようになり、口、頬、アゴのラインを中心にニキビが増えた人も多いのではないか。丁寧なスキンケア、ニキビ専用の化粧品の使用、内服薬…様々な対処法を試しても、肌や体質に合わなければより悪化してしまうことも。ニキビの原因は何なのか、どんなケアが適切なのか。恵比寿形成外科・美容クリニックの西嶌順子先生に話を聞いた。

大人ニキビは、蓄積してきた生活習慣が原因

 西嶌先生は、長い間“大人ニキビ”に悩まされてきた。医師の資格を取得する前は、看護師として新生児特定集中加療室(NICU)や産婦人科で勤務。社会に出て毎日化粧をするようになり、夜勤や当直など不規則な生活、仕事のストレスが加わり、フェイスラインや顎周りには常にニキビができるように。当時は専門知識がなく、皮膚科も受診していなかった。自分の肌に合えばと様々な化粧品を試したが、その悩みが解決することはなかったという。

「生活習慣やストレスが肌に直結するのだということを、身を持って実感しました。医師として活動する今となっては、化粧品のみで解決することはないと分かるのですが、当時はそういった専門知識がなく、外側からのスキンケアだけでどうにかしようとしていました」

 ニキビができるのは、ホルモンバランスの乱れによる皮脂の過剰分泌、毛包開口部(毛穴の出口部分)の角化、細菌感染など、様々な要因が考えられる。思春期にできたニキビと比べると、“大人ニキビ”は慢性化しやすく、しこりが大きく硬いものが多いという。

 これまでに蓄積された乱れた生活習慣、乾燥肌・敏感肌といった肌の性質、間違ったスキンケアがベースにあるため、皮膚の再生能力が滞っているケースが多い。若い時に比べて治りが遅くなったと感じるのも、このような要因が考えられる。

「大人ニキビには、生活習慣が大きく関わります。睡眠不足、食生活、精神的ストレスでホルモンバランスが乱れます。ストレス過多になると、男性ホルモンの割合が増え皮脂の過剰分泌から不全角化、免疫が抑制されることで細菌感染につながっていきます。大前提として化粧品や薬に頼るだけではなく、生活全般を見直すことが大切になるのです」

なぜケアしているのに治らない? ニキビ対策の3ステップ

 西嶌先生によれば、ニキビのケア方法は段階的に3つあるという。

【対策1】生活習慣の見直し

「質の良い睡眠が6時間以上とれているか、ストレスが溜まっていないか(イライラは男性ホルモンを増やします)、便秘をしていないか…生活のなかで改善できることはないか、見直してみましょう。実践することで、肌のターンオーバーが正常に保たれ、ニキビやキズの修復能力が高まります」

【対策2】スキンケアの見直し

「10代の思春期ニキビ用のスキンケアを、大人ニキビのケアではやらないように注意してください。『イオウ』などアクネ菌を殺菌する物質が含まれる化粧品、ニキビ用の化粧品は、肌を乾燥させる傾向があります。オイリー肌以外でもニキビはできるので、それらを使い続けると逆に肌荒れが悪化してしまう可能性も。

 洗顔回数が多いのもよくありません。肌に必要な皮脂や菌を失ってしまいます。ニキビができやすい部分は油分が多い化粧品を控えましょう。ファンデーションブラシ、パフも清潔に保つようにしましょう」

【対策3】医療の力を借りる

「ニキビを100%回避することは無理で、『ニキビを治す』というのも古い考え方。ニキビは毛穴のつまりがスタートです。医学的には“微小面皰(めんぼう)”といいますが、これが炎症を伴う“赤ニキビ”に発展していきます。皆さんがニキビを気にし出すのは、この“赤ニキビ”が現れたとき。しかし、最近では、この“微小面皰”と言われる見た目ではほとんどわからないレベルのものに効果的な外用薬も、保険が適用されるようになりましたので、早めの医療機関の受診をお勧めします。」

高額になる場合もあるが、自費治療に進むタイミング

 生活習慣を見直し、保険内での治療を数ヵ月行っても改善されない場合は、自費治療の検討を。ケミカルピーリング、抗アンドロゲン治療、レーザー、フォトフェイシャル、イオン導入など様々な方法がある。

 ニキビ跡として残ってしまった場合は、新しいニキビができなくなった後にニキビ跡治療を開始するのがよい。色素沈着であれば、時間の経過で自然に薄くなることが多いが、イオン導入やエレクトロポレーションも効果的。隆起したニキビ跡は極力自分では触らないようにして、医療機関で相談を。クレーターとなってしまったニキビ跡は、浅いものであればピーリングが有効。改善されない場合は、CO2フラクショナルレーザー、ピコフラクショナルレーザー、ダーマペンなど肌の入れ替わりをはかる治療も。自費治療になるため継続していくと高額になるが、有用だという。

「ニキビ跡は時間が経過するとともに皮膚が正常に再生して改善する場合がありますが、変わらない場合も。陥没したニキビ跡は、ホームケアでの改善が難しい。大きな跡になってしまえば、医療機関で治療をしても完全には消せません。皮膚科、美容皮膚科、美容外科等の医療機関への受診をお勧めします。自費治療は高額になることもあるためすぐには決めず、まずは相談から始めるのが良いと思います」

『「無駄なケアをやめる」から始める 美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)

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PROFILE/西嶌順子(にしじま・じゅんこ)

形成外科専門医、助産師、保健師、看護師。「医療法人道心会 恵比寿形成外科・美容クリニック」院長。聖路加国際大学看護学部看護学科卒。 新生児特定集中治療室(NICU)、産婦人科などで新生児医療に従事したのち、北里大学医学部医学科に学士編入学。 形成外科医として、がん研有明病院、筑波大学附属病院、新東京病院に勤務したのち現職。 多くの女性が抱える特有の悩みについて、専門医の立場、そして自身の経験に基づく等身大の視点で情報を発信している。プライベートでは2児の母。
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