「言葉は通じなくても幸せ」嚥下障害を起こした肢体不自由の息子のため、ミキサー食でキャラ弁を作る母の想い
2021-12-16 eltha
嚥下障害を起こし、大好きだったご飯が思うように食べられなくなった息子のために、母が工夫を凝らして制作したキャラ弁。『鬼滅の刃』や『ドラえもん』、『スヌーピー』などのキャラクターが施されたこの弁当は、実はミキサー食やペースト食でデコレーションされたキャラ弁だというから驚きだ。制作者である母のkyge.191292さんに、制作のきっかけや苦労、弁当に託した肢体不自由という障害を持つ息子への想いを聞いた。
インフルエンザの高熱で息子の体調に異変 自分を鼓舞するためにも挑戦したミキサー食でデコレーション
お弁当は「#エイトマンのキャラ弁」としてSNSで発信され、多くの反響を得ている。“エイトマン”とは息子さんの愛称で、以前からご飯が大好きな食いしん坊だったという。それが2019年にインフルエンザの高熱の影響から体に異変が。食べ物に対して全く反応を示さなくなり、口にご飯を入れても飲み込めない嚥下障害の状態となってしまった。
「体重がどんどん減少していき、これから先どうなるのかという不安が大きくなる中での一日3食のご飯づくり、エイトマンにご飯を食べさせる時間が憂鬱になってしまい苦しい時間となってしまいました」
しかし「これではダメだと、自分を鼓舞するために」もミキサー食のデコレーションにチャレンジした。
「最初の頃は、慣れていなかったのでお弁当に入れられそうな物を考えることにも苦労したり、毎回ミキサーでおかずやご飯をペースト状にするのが大変でした。おかずは特に食べる分だけをミキサーにかけるとなると量が足りなかったりで、思うような形状に出来なかったり、水分が多めになってしまうとデコレーションがうまくいかなくなったりと苦戦しました」
始めた頃は、2〜3時間はかかっていたというミキサー食でのキャラ弁づくり。試行錯誤の末、徐々に作る時間が短縮され、今では1時間〜1時間半にで仕上げられるようになった。
「もちろん作るキャラにもよりますが、基本的にミキサー食は茶色系になりがちなので彩りを意識して、見た目でも楽しめるようにカラフルに仕上がるようにということをなるべく意識して仕上げるようにしています」
「体重がどんどん減少していき、これから先どうなるのかという不安が大きくなる中での一日3食のご飯づくり、エイトマンにご飯を食べさせる時間が憂鬱になってしまい苦しい時間となってしまいました」
しかし「これではダメだと、自分を鼓舞するために」もミキサー食のデコレーションにチャレンジした。
「最初の頃は、慣れていなかったのでお弁当に入れられそうな物を考えることにも苦労したり、毎回ミキサーでおかずやご飯をペースト状にするのが大変でした。おかずは特に食べる分だけをミキサーにかけるとなると量が足りなかったりで、思うような形状に出来なかったり、水分が多めになってしまうとデコレーションがうまくいかなくなったりと苦戦しました」
始めた頃は、2〜3時間はかかっていたというミキサー食でのキャラ弁づくり。試行錯誤の末、徐々に作る時間が短縮され、今では1時間〜1時間半にで仕上げられるようになった。
「もちろん作るキャラにもよりますが、基本的にミキサー食は茶色系になりがちなので彩りを意識して、見た目でも楽しめるようにカラフルに仕上がるようにということをなるべく意識して仕上げるようにしています」
「これって共食いじゃん!」息子の似顔絵キャラ弁は定番に
肝心の息子さんの反応はどうだったか。ミキサー食でキャラ弁を作っていた当初は、視線も合わない状態で食べたいという欲求自体が見られなかったが、作ったものは綺麗に完食してくれた。
「約1年かけて、様々な反応が復活してからはお弁当を見て、声を出したりジェスチャーをしながら『早く食べたい!』とアピールするようになりました。エイトマン以上に通っている施設のスタッフさん達が『ミキサー食でもデコれるんですね〜』と喜んでもらえたのは印象的でした」
中でも思い入れがあるのは息子さん自身の顔を描いたキャラ弁。息子さんが自分の顔を食べている姿を想像して「これって自分を食べることになるんだな〜…ん?!共食いじゃん(笑)!!」と作りながら思わず笑ってしまった。「私の中でこのデコレーションはアリだな!と思った」とkyge.191292さんは話す。
「エイトマンの顔がとっても作りやすいことに気づき、共食いバージョンはそれから度々作るようになりました。
その中でもエイトマンの小6の時の養護学校の文化祭の発表で、ピーターパンならぬ『エイターパン』の役をやることになり、先生方が作った文化祭ポスターにいた『エイターパン』を文化祭当日のお弁当で作りました。だいたい本番になると居眠りしてしまうことが多いエイトマンなのですが、この『エイターパン』の時は練習の成果を思った以上に発揮してくれました。エイトマンの出来栄えにとても感激し思い出深いデコ弁の一つになっています」
「約1年かけて、様々な反応が復活してからはお弁当を見て、声を出したりジェスチャーをしながら『早く食べたい!』とアピールするようになりました。エイトマン以上に通っている施設のスタッフさん達が『ミキサー食でもデコれるんですね〜』と喜んでもらえたのは印象的でした」
中でも思い入れがあるのは息子さん自身の顔を描いたキャラ弁。息子さんが自分の顔を食べている姿を想像して「これって自分を食べることになるんだな〜…ん?!共食いじゃん(笑)!!」と作りながら思わず笑ってしまった。「私の中でこのデコレーションはアリだな!と思った」とkyge.191292さんは話す。
「エイトマンの顔がとっても作りやすいことに気づき、共食いバージョンはそれから度々作るようになりました。
その中でもエイトマンの小6の時の養護学校の文化祭の発表で、ピーターパンならぬ『エイターパン』の役をやることになり、先生方が作った文化祭ポスターにいた『エイターパン』を文化祭当日のお弁当で作りました。だいたい本番になると居眠りしてしまうことが多いエイトマンなのですが、この『エイターパン』の時は練習の成果を思った以上に発揮してくれました。エイトマンの出来栄えにとても感激し思い出深いデコ弁の一つになっています」
「言葉は話せなくても『ご飯食べたい!もっと欲しい!』と息子なりのアピールをしてくれることが幸せ」
そんな「#エイトマンのキャラ弁」のInstagram投稿には、キャラ弁とともに息子さん(エイトマン)の日々の成長が綴られている。読者から「読んでいて感動」「エイトマンお兄ちゃんになったね」などのコメントも。投稿がないと、「『エイトマンは元気?最近どう?』などとメッセージをいただく」こともあるのだとか。
「体が不自由であったり様々な病気を抱えているエイトマンの日常を知っていただき、直接お会いしたことがない方から一緒に成長を喜んでいただけたり、励ましや寄り添いのメッセージをいただけることで、日々の頑張る力になっているので本当にありがたく感謝しています! エイトマンの存在を気にかけていただき、受け入れてくださっていることがとても幸せだなぁと感じています。」
Instagramでの息子さんの投稿を通して、「私自身、エイトマンの状態が悪化した時に気持ちがドーンと落ち込んだものの、ミキサー食のデコレーションを始めたことで自分自身のモチベーションアップに繋がり、楽しみながら作ることで子供に与える影響も大きく変わっていくということが実感できた」というkyge.191292さん。最近ではYouTubeチャンネルを開設し、息子さんと同じように重度の心身障害や嚥下障害の子どもを持つ親へ「SNSを通して気持ちが上がったり、楽しさが伝わり何か少しでも目にしてくれた方の力になる事があれば」という想いを込めて発信している。
そんなkyge.191292さんにとってキャラ弁を作る時間は「基本的には面倒くさがりなので、お弁当を作ること自体が億劫だな〜という気持ちの方が正直大きい(笑)」と率直な想いを吐露しつつも「今ではすっかりハマりました」と話す。
「エイトマンが完食してくれるかな〜とか施設のスタッフさんも食事介助しながら楽しい気持ちになってくれるかな〜などといつもワクワクしながら作っています。また、イメージしたものが形になる達成感を楽しめる時間」になっているという。
生まれた翌日からNICUに入り、これまでたくさんの手術をして病気を乗り越えてきた息子さん。来年、中学3年生になる息子へ母の想いは――。
「ミラクルをたくさん起こして『ご飯が大好きな食いしん坊エイトマン』に復活してくれたこと、本当に本当に嬉しかったです! 言葉は話せなくても『ご飯食べたい!もっと欲しい!』というエイトマンなりのアピールをしてくれることが幸せ。エイトマンに喜んでもらえるように母ちゃんはこれからも頑張るよー!!」
母は今日も大好きな息子のため、キャラ弁を作る。
「体が不自由であったり様々な病気を抱えているエイトマンの日常を知っていただき、直接お会いしたことがない方から一緒に成長を喜んでいただけたり、励ましや寄り添いのメッセージをいただけることで、日々の頑張る力になっているので本当にありがたく感謝しています! エイトマンの存在を気にかけていただき、受け入れてくださっていることがとても幸せだなぁと感じています。」
Instagramでの息子さんの投稿を通して、「私自身、エイトマンの状態が悪化した時に気持ちがドーンと落ち込んだものの、ミキサー食のデコレーションを始めたことで自分自身のモチベーションアップに繋がり、楽しみながら作ることで子供に与える影響も大きく変わっていくということが実感できた」というkyge.191292さん。最近ではYouTubeチャンネルを開設し、息子さんと同じように重度の心身障害や嚥下障害の子どもを持つ親へ「SNSを通して気持ちが上がったり、楽しさが伝わり何か少しでも目にしてくれた方の力になる事があれば」という想いを込めて発信している。
そんなkyge.191292さんにとってキャラ弁を作る時間は「基本的には面倒くさがりなので、お弁当を作ること自体が億劫だな〜という気持ちの方が正直大きい(笑)」と率直な想いを吐露しつつも「今ではすっかりハマりました」と話す。
「エイトマンが完食してくれるかな〜とか施設のスタッフさんも食事介助しながら楽しい気持ちになってくれるかな〜などといつもワクワクしながら作っています。また、イメージしたものが形になる達成感を楽しめる時間」になっているという。
生まれた翌日からNICUに入り、これまでたくさんの手術をして病気を乗り越えてきた息子さん。来年、中学3年生になる息子へ母の想いは――。
「ミラクルをたくさん起こして『ご飯が大好きな食いしん坊エイトマン』に復活してくれたこと、本当に本当に嬉しかったです! 言葉は話せなくても『ご飯食べたい!もっと欲しい!』というエイトマンなりのアピールをしてくれることが幸せ。エイトマンに喜んでもらえるように母ちゃんはこれからも頑張るよー!!」
母は今日も大好きな息子のため、キャラ弁を作る。