「反抗期にはこの子の寂しさは一気に爆発するだろうという覚悟していた」長男と母の潤滑油だった次男の存在
――kyge.191292さんから見て、長男くんは弟のエイトマンくんとどのような関係性を築いているように見えますか?
長男が年長のときにエイトマンが生まれ、翌日から約5ヵ月間NICUに入院しました。主人と私は毎日エイトマンのいる病院に通い、まだまだ甘えたい時期の長男を実家や友人に預けたり、一人で待合室で長時間待たせたりしてしまうこともありました。
――それは大変でしたね。
長男だけがエイトマンに会えず、一人で待つ寂しさを感じていることをわかっていながら、エイトマンの状況を受け入れることに私自身がいっぱいいっぱいで。長男の想いをちゃんと受け止めてあげられずにいたので、反抗期にはこの子の寂しさは一気に爆発するだろうという覚悟はしていました。
――なんとなく予想はできていたのですね。
ただ、ありがたいことにエイトマンが生まれてから14年間、ずーっと弟が大好きという気持ちは変わらず、反抗期のときには、むしろエイトマンと関わる時間はとても増えていました。エイトマンと関わるときだけは、母には見せない穏やかな表情や言葉がけをしていて、まるで別人のように感じるほどでした。
――長男くんにとっても弟くんの存在は大きかったということでしょうか。
「思春期の時期って自分でもわからないけどなんかイライラしたりモヤモヤしたりするんだよね」とあとになって聞いたときに、そのわけのわからないイライラやモヤモヤをエイトマンが癒して解消してくれる存在だったんだなと感じました。エイトマンは長男にとって歳を重ねる毎に大切でなくてはならない存在になっているように感じます。有難く幸せなことだと感じると共に、逆にちょっと心配になったりもしています(笑)。
“お説教”から“応援”や“励まし”へ お弁当に込めた長男への想いの変化
――2人のお子さんにそれぞれ違った形で、しかもとても凝ったお弁当を創作されていますが、普段はどのようにしてお弁当を作っているのですか?
基本的に、長男のお弁当は海苔文字カットに、エイトマンのお弁当はデコレーションに時間をかけられるように、おかずを作り置きしたり、冷凍食品を準備したりしています。お弁当作りが重なった日は、その分早起きをして作らないといけないのですが、朝方4時頃になるとエイトマンが目を覚まし騒ぎ始めるので、それが目覚まし代わりとなって時間的には間に合うようになりました。
――長男くんのお弁当作りでこだわっている点は?
やはり海苔文字ですが、余裕があるときはおかずに海苔で顔のパーツを作って貼り付けて、母の思いをプラスして表現していました。あとはおかずの色彩も意識しています。しかし、長男からは「男は肉肉肉!!って感じの茶色い弁当でいい!!色味とかいらん!!」と言われました。これみよがしに「ニク!にく!肉がいーんじゃろ?」というメッセージをつけて、ご飯にお肉を乗せたこともありましたが、そのときもおかずの色味は意識しました(笑)。作る際も見た目がカラフルだとモチベーションが上がるのでね。
――長男くんのお弁当を作る時間は、kyge.191292さんにとってどんな時間ですか?
長男が大学生となり、成長も見られて嬉しい反面、海苔文字にするネタが少なくなったり、お弁当いらずの状況になったりしているので、ホッとすると同時に寂しさもあります。そのときそのときに感じる長男への想いを込められるお弁当作りは、自分にとって楽しい時間の一つになっていたのだなと今とても感じています。
――長男くんのお弁当を制作するにあたって、どんな想いを込めていますか?
想いの込め方は、中学、高校、大学と、その過程で変化してきました。イライラの解消からスタートした中学の海苔文字弁当は、注意や説教などをひたすらメッセージに込めることが多かったです(笑)。高校でも説教などが多かったですが、部活や学校生活の応援や励まし、面と向かって言いにくい感謝の気持ちなどをメッセージに託したり、ときには小さいおにぎりに文字をつけて「並び替えおにぎり」を持たせて、答えをLINEで送り正解したらご褒美ありとか、「ロシアンおにぎり」などを作って遊び心を取り入れたりして、長男とコミュニケーションが取れるような形にすることもありました。
――では現在は?
大学生になってからは、「弁当を作ってもらえるって本当にありがたいわ〜」とか「ありがとう」や「美味しかったよ〜」と素直に言葉にして伝えてくれることが多くなりました。そんな言葉に単純な母ちゃんは心を揺さぶられ、「このおかず好きって言ってたよな〜。入れたら喜ぶかな」「また美味しかったって言ってもらえるように…」という想いを込めて作れるようにようやくなれた気がします(笑)。それなのに、もうなかなか作る機会がなくなってきてしまっています…。