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観月ありさ、芸能界引退の危機を救ってくれた『ナースのお仕事』 歌手活動30周年は「“14歳の自分”に背中押された」

2022-06-13 eltha

 観月ありさが歌手活動30周年を記念するアルバム『Ali30』をリリース。14歳当時の自分と共演したリード曲「サジタリウス」のMVも話題だ。歌手デビュー前より4歳からモデルとして活躍し、10代ですでに歌手・俳優としての代表作を得る早熟ぶり。そこにとどまることなく、昨年には30年連続で連ドラ主演の偉業を達成している。"伝説の少女"はいかにして長きにわたって芸能界の最前線を走り続けてこられたのか、30年の軌跡を振り返ってもらった。

デビュー当初の作られた「謎めいた少女」イメージに危機感 「だから歌手デビューは本当にうれしかった」

──歌手デビューした頃の観月さんは神秘的な佇まいが"伝説の少女"そのものでした。MVで14歳の自分と共演して、どんなことを思い出しましたか?

観月ありさあの頃はものすごく頑張ってたことを思い出しましたね。「神秘的な佇まい」とか「謎めいた少女」というイメージは、周りのクリエイターさんたちが作ったものだったんです。モデル時代はなぜか「笑わないで」「世間を斜に見るような目線で」と指示されることが多くて。実際は活発でよく笑う、ごくごく普通な子だったんですけど。

──そうしたイメージを植え付けられることに葛藤もあったのでしょうか?

観月ありさそれもカッコよくていいなとは思ってたんですが、「イメージが固定したら仕事の幅が狭まってしまうんじゃないか」という危機感もありました。だから自分で1からものづくりできる歌手デビューは本当にうれしくて、とにかく頑張ったんですよね。「こういう自分を表現したい」というビジョンも明確にあったので、衣装のリースや楽曲提供していただく方にも自ら交渉やお願いに行ったり。

──10代の女の子が尾崎亜美さん、小室哲哉さん、呉田軽穂(松任谷由実)さん、などなどそうそうたるアーティスト陣に自らオファーを?

観月ありさ今考えると怖いもの知らずでしたけど、妥協したら絶対に後悔すると思って寝る間も惜しんで飛び回ってました。またあの頃は音楽番組の演出も、今では考えられないほど過激だったんですよ。土砂降りの雨の中で歌ったり(笑)。10代半ばでそうした経験をして、歌手活動を通して鍛えられた面はたくさんありましたね。

芸能界を辞めようと思っていた時に出会った“当たり役”

──俳優としては19歳で出会ったドラマ『ナースのお仕事』(フジテレビ系)が、18年続く大ヒットシリーズになりました。

観月ありさ『ナース〜』をきっかけに世間的なイメージがガラッと変わりました。それまでは街を歩いても遠巻きにされていたのが、普通に話しかけられるようになって。自分は何も変わってないのに、不思議なものだなと思ってました。

──もともと活発だったという観月さん、『ナース〜』で演じた朝倉は素顔に近かったのでしょうか?

観月ありさいや、4歳から大人の中で仕事していましたし、精神的にはもっと落ち着いてたかな(笑)。実は『ナース〜』が決まる直前は、芸能界を辞めようと考えていた時期だったんです。ところが予想外の『ナース〜』の大ヒットで、辞めるに辞められなくなってしまって(笑)。

──辞めようと思った理由は?

観月ありさ仕事が嫌だったわけではないんですが、精神的にも肉体的にも消耗が大きい世界ですしね。15年やってきたし、そろそろ違うところに身を置いてもいいかなと思ったのと、あとは「世間から求められる自分」と「本当の自分」とのギャップにモヤモヤしてたところはありました。

──そこから抜け出せたのは?

観月ありさ芸能界の中にも外にも、なんでも相談できる友人に恵まれたことです。「本当の自分」を知っていてくれる人は目の前にいる。だったら世の中の人すべてに理解してもらおうなんてしなくてもいいんじゃないかと、そう思えるようになってからは演じることもすごく楽になりました。あとは事務所が自由にさせてくれたこと。これには本当に感謝しています。

皆無だった結婚願望「いざしてみたら悪くないなって思った」

──自由な時間にはどんなことをされていたんですか?

観月ありさ山に登ったり、海で泳いだり、スカイダイビングをしたり、陸海空と隙あらば大自然に飛び出してました。川のそばに沸いている野生の温泉みたいなところにもよく行ってましたね。脱衣所もないところで、今みたいにカメラ付きスマホとかがあったら絶対に無理だっただろうなと思います(笑)。

──充実した仕事を続けられてきた一方、38歳で結婚してどんなことが変わりましたか?

観月ありさ家にいる時間が増えました。それまでは仕事もそうですし、プライベートも1人でどんどん自由行動するほうでほとんど家にいない人生だったんです。結婚願望もまったくなかったんですよ。だけどいざしてみたら結婚も悪くないなって思ってますし、何事も経験してみないとわからないですね。

──モデル時代から数えると40年以上のキャリアですが、これから新たに挑戦したいことはありますか?

観月ありさこのたびのMVで14歳の頃の自分と共演して、あの頃ものすごく頑張っていた自分に背中を押される感覚があったんです。何より「やっぱり私はものづくりが好きだ」という気持ちが呼び覚まされました。音楽はもちろんですけど、いつか映画やドラマをプロデュースしてみたい願望もあります。「私まだまだ頑張れる」というのが、歌手活動30周年を迎えた心境です。
(取材・文/児玉澄子)

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