子どもとの「食べる」「食べない」バトルに辟易…どう解決する? 専門家が教える食べ方の秘訣
2023-06-12 eltha
考えて作った食事を「イヤ!」と言われたとき…親の対応力が問われる瞬間
ちまたにはいろいろな食材についての情報や、その食材を活用したレシピが簡単なものから難しそうなものまで多岐に渡って溢れているが、どのようなポイントを重視して情報の取捨選択をすればいいのだろうか。管理栄養士の高橋麻里先生に聞いたところ、「無理のない範囲で取り入れていくことが大事」との答えが返ってきた。
「これがいいという情報を目にしても、まずは参考程度に留めて、無理のない範囲で、日常的に取り入れられそうなものから取り入れていくのがいいと思います」
考えた上で体に良い食事を出しても、それが子どもの好きな味ではないというのはよくあること。食事をする度に「食べて」「食べたくない」と押し問答を繰り返していたら、お互いが食事を嫌いになってしまう可能性だってある。だからこそ、「子どもに無理強いをしてはいけない」と力説する。
「子どもが料理を食べない理由には、味が好きではないだけではなく、さまざまな原因があります。まずは、食材の大きさは丁度いいか、盛付の量は多すぎないかなどを確認し、献立の立案・買い物・調理などに参加してもらい、自ら食べたいと思ってもらうようにするといいでしょう」
数ある心配事のなかでも、特に気にする人が多いのが“子どもの脳の発達”。それを向上させる食材として注目を集めているのが「オメガ3」だ。必須脂肪酸であるオメガ3を日々摂取することで、子どもの“思考力・集中力・記憶力”がアップするという調査結果も出ている。
「全体的なIQに関わってくる」 子どもの脳の発達に必須な“オメガ3”
「お腹のなかで脳が育っていく過程から成長期まで継続してオメガ3を摂ることで、脳が一番良い状態で発達していきます。脳が成長する時にオメガ3が足りないと、必要な分量を他の油で埋めることになってしまい、入れ替えることが難しくなります。そのため成長期にタイミングよくオメガ3を摂ることが重要といえます」
妊娠中の母体から赤ちゃんへのDHAの供給が少なく、欠乏状態が深刻であればあるほど、母子ともに脳機能の回復に時間がかかってしまうため、オメガ3をしっかりと摂取することを心がける必要があるという。
「子どもの未来が変わる」 食事で“健やかな成長”を見守ることの重要性
そこで、管理栄養士の高橋麻里先生にオススメのアマニ油やえごま油を使ったレシピを尋ねたところ、「ぜひ継続して食べていただきたいので、簡単に続けられるものをおすすめします」と、毎日摂取することができる食べ方の秘訣を紹介してくれた。
「アマニ油・えごま油ともに高温で酸化しやすいため、加熱する調理に使うのでなく、そのまま料理にふりかけたりドレッシングで使ったりするのがいいでしょう。醤油との相性がとても良いので、醤油と混ぜるだけで簡単ドレッシングになります。お浸しにかけたり、納豆もパックからお皿に移して混ぜていただくとおいしいですよ。メイプルシロップにちょっと混ぜてデザートに使うのもオススメです。
ビタミンE(ナッツ類に多い)やビタミンC(野菜や果物に多い)との組み合わせ、また一緒に摂ることで効果的に吸収されるたんぱく質(肉・魚・卵・豆腐など)と組み合わせて食べるのもよいでしょう」
「初めは1滴程を離乳食に混ぜるだけで良いです。下痢などが起こらないことを確認して、徐々に増やしていくといいでしょう。厚生労働省が定めている日本人の食事摂取基準において、オメガ3の摂取基準は0ヵ月から目安量として定められていますが、小さじ半分よりも少ない量が1日の目安量となります。」
また、最近の研究により、オメガ3が子どもの異常行動に有効であるといこともわかった。この研究では、6ヵ月以上オメガ3を補給した場合に、治療の終了時と治療6ヵ月後の両方の子どもの問題行動を減少させたという結果が出ている。両親も治療後の子どもの暴力的・反社会的な行動が減少したと感じていることがわかり、その有用性はますます広がっているという。
「オメガ3は学習能力の向上だけでなく、精神的な落ち着きが出るなど心の知能指数も上がると言われている点も、子どもの発達に必要だといえる理由です。食事を思うように食べてくれないので栄養が偏っているのではないかと悩んでいる親御さんも多いかと思いますが、『食べさせなければ』と焦らず、まずは子どもの『食べたい』という気持ちを引き出すように親も一緒に食事を楽しみましょう。
食事を変えても目に見えて何かが変わるわけではありませんが、身体は自分が食べたものでできています。その先のお子さんの身体を作るのは自分たちなのだと心の片隅においていただき、できることから取り入れていきましょう」
※アマニ油・えごま油は、年齢によって摂取基準が異なります。小さじ1杯程度が目安となりますが、2歳未満のお子様は1g程度、後期離乳食として0歳児に与える場合は、1滴からの摂取を推奨します。
監修者 高橋麻里
管理栄養士。総合病院やクリニックで多数の栄養指導経験があり、現在は外食企業で好き嫌いの多い子どもたちの完食を目指したミールキットの献立開発を行う。