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イライラや不眠の原因にも? “夏バテ”の意外な症状と予防法【医師監修】

2023-08-28 eltha

 この時期になるとよく耳にする“夏バテ”。主な症状として全身のだるさや疲労感などが知られていますが、実は「イライラする」「眠れない」といった不調も“夏バテ”が原因になっていることも。身近ながら意外と知らない“夏バテ”の実態について、循環器内科の専門医に聞きました。

頭痛に下痢も…意外なあの症状も“夏バテ”だった?

 “夏バテ”とは、夏の暑さによって体温調節がうまくできなくなり、自律神経や代謝が乱れて起こる一連の症状のことです。自律神経は心臓や血管、内臓などの働きをコントロールする神経で、交感神経と副交感神経の二つの系からなります。自律神経はこの二つの系をバランスよく切り替えることで、体の機能を適切に調整します。

 しかし、夏の暑さによって体温が上昇すると、交感神経が過剰に刺激されて副交感神経が抑制されます。その結果、自律神経のバランスが崩れて、心臓や血管、内臓などの働きが低下し、これらによって、だるさや疲労感、食欲不振といった様々な不調が現れます。さらに、「頭痛や下痢症状も“夏バテ”のひとつ」と話すのは、医療法人社団正恵会ディオクリニック・藤井崇博医師。

「夏バテの症状には一般的によく知られている、倦怠感や食欲低下、やる気の低下等があるかと思いますが、便秘や下痢などの消化器症状、頭痛、めまいなども症状として出ることがあります。これらの夏バテの原因としては高温多湿な環境や屋内と屋外での温度差、冷たい食品の摂りすぎ、水分や電解質不足、睡眠不足などがあります」

 放っておくと、体力や免疫力が低下し、さらに重い病気にかかりやすくなる危険性があるとも言われる“夏バテ”。まずは、この時期に下記の症状がないか、自身の体調を振り返ってみましょう。

▼“夏バテ”の主な症状
・だるさ
・倦怠感
・気力の低下
・食欲不振
・頭痛
・めまい
・イライラ
・不眠
・胃腸障害(下痢や便秘)

 では、“夏バテ”予防・改善にはどのような対策が有効なのでしょうか。

医師が伝授する6つの“夏バテ”予防&改善法

【対策1:屋内と屋外の温度差に気をつける】
室内と室外の気温差が大きいと、体温調節するために自律神経に負荷がかかりますので、室内では過剰に冷やさないように着る物を調節し、屋外では出来るだけ涼しく過ごすように心がけてみて下さい。

【対策2:高温多湿な場所に長時間いることを避ける】
暑い屋外はもちろんですが、屋内でもじっとしていても汗が出るような環境であれば、エアコンで温度や湿度を適宜調節しましょう。エアコンの設定温度は25℃〜26℃、湿度は60%以下、扇風機と併用して使うと効率が高まるのでおすすめです。熱帯夜は一晩中エアコンをつけておいても構いません。

【対策3:栄養バランスの取れた食事を意識する】
暑い季節は、食欲が落ちたり、食べやすい麺類など炭水化物に偏るなど、知らず知らずに、体に必要な栄養素が不足してしまう恐れがあります。いつも以上にバランス良く食事を摂ることを意識しましょう。特に積極的に摂取したいのはビタミンB1です。ビタミンB1が不足すると、疲労感を感じやすくなります。ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉や大豆製品、うなぎなど。また、玉ねぎやニンニクなどに多く含まれるアリシンという栄養素を一緒に摂るとビタミンB1の吸収力がアップします。

【対策4:電解質(ナトリウム、カリウムなど)をしっかり摂る】
汗をたくさんかくと人間の体は電解質不足に陥りやすくなります。電解質には、体の機能を維持したり調節したりする大切な役割があります。電解質は体内で生成できない栄養素であるため、食事から摂取する必要があります。電解質を多く含むのは、野菜や果物などで積極的に食事に取り入れていきましょう。外での活動時間が長くなったり脱水が疑われる場合は経口補水液で電解質、水分を補給するようにしましょう。経口補水液がなければスポーツドリンクどでも代用可能ですが、経口補水液に比べて糖質が多かったり、電解質が少なかったりするので注意が必要です。

【対策5:有酸素運動】
年齢とともに汗腺の機能は低下しやすくなり、体温のコントロールがしづらくなっていきます。そこで汗腺の機能を改善して発汗機能を高めるために、有酸素運動を積極的に取り入れましょう。有酸素運動は自然な発汗を促してくれます。気温の高さによって汗をかくということではなく、適度な運動で自ら汗をかくことということが大切です。高温多湿や屋内外での気温差のストレスではなく、運動をして交感神経を活性化する場をつくりましょう。

また、運動による疲労は、睡眠にとっても良い効果が期待されます。有酸素運動でおすすめなのは、ジョギングやウォーキング、ヨガ、水泳、サイクリングなどです。運動時間の目安は、1回 20〜30分程度で、決して無理はせず休憩を適宜とりながら合計時間が20〜30分になるように心がけてください。軽く汗ばむ程度が理想的です。もちろん熱中症には十分注意して早めの水分・電解質補給を心がけてください。なお、有酸素運動は。週に3日程度で1ヵ月以上続けるのが効果的です。運動習慣をぜひつけていきましょう。

【対策6:質のよい睡眠】
睡眠不足は体調不良の一因で、暑さで寝苦しい日にも、快適な睡眠をとれるように工夫することが大切です。そのための対策として、夏でも入浴時は湯船に浸かることをおすすめします。湯船に浸かると血行が改善され副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスして、体が眠りにつきやすい状態になります。また、眠るときに室内が暑すぎると、寝苦しくて睡眠の質が低下します。先述したように冷房等で室温を適切に管理することで、眠りやすい環境を作ることも大切です。

 “夏バテ”で体調が悪くなる前に、これらの方法を実践して健康に過ごしましょう。
藤井崇博

監修者 藤井崇博

医学博士、循環器内科専門医。2021年までの約10年間大学病院、関連病院で臨床、研究、教育に従事。最近では臨床のほか、SNSやWeb記事などでの情報の発信にも注力している。

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