長すぎても危険、年齢で異なる「理想的な睡眠時間」ちゃんと知ってる? 医師が解説
2023-10-02 eltha
おじいちゃんおばあちゃんは赤ちゃんの半分、年齢別の睡眠時間の目安
米国国立睡眠財団(National Sleep Foundation)が発表した年代別の推奨睡眠時間は、以下の通りです。
- 新生児(0〜3ヵ月):14〜17時間
- 乳幼児(4〜11ヵ月):12〜15時間
- 幼児(1〜2歳):11〜14時間
- 未就学児童(3〜5歳):10〜13時間
- 学齢児童(6〜13歳):9〜11時間
- 10代(14〜17歳):8〜10時間
- 若年成人(18〜25歳):7〜9時間
- 成人(26〜64歳):7〜9時間
- 高齢者(65歳以上):7〜8時間
成長期である子どもや10代は、大人よりも多くの睡眠時間が必要です。これは、成長ホルモンが深い睡眠の間に分泌されるためです。また、学習や記憶の定着にも睡眠が重要な役割を果たします。一方、高齢者は深い睡眠が減少し、浅い睡眠や中途覚醒が増加するため、睡眠時間が短くなります。しかし、高齢者でも7〜8時間の睡眠は必要です。
ただし、これらの睡眠時間はあくまで目安であり、個人差があります。自分にとって最適な睡眠時間は、起床時に熟睡感がありすっきりと起きられること、日中に眠気や居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせることが目安です。
長すぎても短すぎても情緒不安定になりやすい? 「寝すぎ」の人も要注意
睡眠不足による悪影響
・免疫力の低下:睡眠不足は免疫細胞の分泌や活性を低下させるため、感染症やアレルギーなどにかかりやすくなります。
・生活習慣病のリスクの上昇:睡眠不足は自律神経やホルモンのバランスを崩し、血圧や血糖値、コレステロール値などを上昇させるため、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。
・食欲の増大と肥満の傾向:睡眠不足は食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌を減らし、食欲を増やすホルモンであるグレリンの分泌を増やすため、食事量や間食が増えて肥満になりやすくなります。
・不安や抑うつの発症:睡眠不足は感情調整やストレス耐性を低下させるため、不安や抑うつなどの精神的な不調を引き起こす可能性があります。
・頭痛や吐き気などの症状:睡眠不足は脳内の血流量を減らすため、頭痛や吐き気などの自律神経失調症的な症状を引き起こす可能性があります。
寝すぎによる悪影響
・生活習慣病のリスクの上昇:寝すぎは体内時計を乱し、自律神経やホルモンのバランスを崩すため、血圧や血糖値やコレステロール値などを上昇させるため、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。
・認知機能の低下:寝すぎは脳の活性化を阻害し、記憶力や判断力などの認知機能を低下させる可能性があります。
・不安や抑うつの発症:寝すぎはセロトニンという神経伝達物質の分泌を減らし、気分を落ち込ませる可能性があります。また、寝すぎによって日中の活動量が減り、社会的な刺激や充実感が失われることも不安や抑うつの原因になります。
・頭痛や腰痛などの症状:寝すぎは血液循環を悪化させ、頭部や背部に酸素不足が起こるため、頭痛や腰痛などの筋肉痛を引き起こす可能性があります。
睡眠時間だけでなく、睡眠の質も効果に影響します。日中に光を浴び、寝室は暗くするなど、快適な睡眠環境を整え、量だけでなく質にも気を付けながら、自分に合った十分な睡眠をとりましょう。
監修者 医療法人社団先陣会理事長/こころと美容のクリニック東京 大和行男院長
こころと美容のクリニック東京院長として、思春期から成人まで幅広くメンタルケアから美容皮膚科の診療を展開。新しい概念として「思春期美容皮膚科」を提唱し、睡眠障害の在宅審査や指導、児童精神科の訪問診療やADHD治療などを行っている。
資格:子どものこころ専門医、精神科専門医
こころと美容のクリニック東京:https://www.kokoro-clinic.tokyo/