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「寝起きから疲労感がある」「熟睡感がない」、睡眠トラブルが続くとどうなる? 専門家が解説

2023-09-30 eltha

 近年、多くの人が自身の睡眠に不満や不安を抱えていると言われています。中でも「寝起きから疲労感がある」「熟睡感がない」など、“睡眠の質の低さ”について悩む声は少なくなく、“睡眠の質”の向上や改善を謳ったドリンクやサプリメントが一大ブームに。それでは、質の低い睡眠にはどのようなりスクがあるのでしょうか。また、不眠症状として多い「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」のうち、最も気を付けるべき睡眠トラブルとは。大阪カウンセリングセンターBellflower代表の町田奈穂さんに聞きました。

「人に会うのも話すのも億劫…」“質の低い”睡眠が招く、心身トラブル

Q:「寝ても疲労感がある」「熟睡感がない」のは、なぜでしょうか。

町田奈穂さん十分な睡眠時間が確保出来ていなかった、もしくは時間はたっぷりだけれども、浅い睡眠だったということが考えられます。睡眠は長ければ良いというわけではなく、それぞれにあった睡眠時間でぐっすりと深さもある“質の良い”睡眠をとることが大切です。

 睡眠時間が平均6時間未満であっても日中の活動に問題がないショートスリーパーや、平均睡眠時間が10時間以上必要なロングスリーパーと呼ばれる人もいますが、どちらも極めて稀で数%程度しか存在しないと言われています。そのため、多くの人が平均7時間程度の睡眠が必要であると考えられます。

Q:慢性的な寝不足、浅い睡眠といった“質の低い”睡眠が続くとどうなりますか?

町田奈穂さんまずは、気怠さ・頭痛・腹痛・関節痛・食欲不振・体重増加や体温調節ができないなど、身体の不調が目立つようになります。それと同時に、次のような抑うつ症状に似た症状が見られます。

・イライラする
・集中できない
・簡単なミスを繰り返す
・何事もめんどくさいと感じる
・ストレスを感じやすい
・人に会ったり話したりするのを億劫に感じる

 質の低い睡眠が続く期間が一時的であれば、その後、睡眠のリズムを整えることで徐々に回復はしていきますが、長期間にわたり続くと、生活習慣病や身体疾患や精神疾患のリスクが増加してしまいます。

 1時間の睡眠不足を解消するには4日間必要であると言われているほど睡眠不足の解消には途方もない年月を要します。10代、20代前半は溢れるエネルギーで乗り越えることのできた日中の不調なども歳を重ねるごとに顕著に現れます。しかし、気づいた時には簡単に改善できる状態ではないことも少なくありません。気づいた日に、睡眠習慣の改善に取り組んで置くことをお勧めします。

夜中に目覚めても、すぐに眠ることができれば問題なし

Q:“質の高い”睡眠とはどのようなものですか?

町田奈穂さん質の高い睡眠とは、自然な眠気とともに眠ることが出来て、朝に自然と目が覚める。夜中に目が覚めることがあっても、すぐにまた寝付くことができている睡眠のことです。人は一晩の睡眠の中で浅い睡眠と深い睡眠を繰り返し、脳と身体の両方を順番に休めています。その繰り返しの中でふと目が覚めることが多々あります。その多くが覚えていないことが多いのですが、例えば目が覚めてトイレに行く、などがあっても、その後すぐに眠ることが出来れば問題ありません。

 古来からの人間の生活を想像してみてください。朝日と共に目を覚まし活動をし、日暮れと共に休息、眠りにつくという生活を私たち人間は繰り返していました。質の高い睡眠をとることで人間本来の生活リズムのように、朝は自然と気持ちよく目覚め、日中しっかりと活動でき、夜になると自然と眠たくなるという状態が続いていることが理想的です。

Q:不眠症状として良く知られる睡眠トラブルに「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」がありますが、最も気を付けるべきはどれでしょうか。また、それの対策についても教えてください。

町田奈穂さん現代人にとって最も気をつけるべきは入眠障害であると考えられます。夜遅くまで続く仕事やスマホなど、眠りへの悪影響を持つものたちに、私たちは囲まれて生活しています。日中は「今日こそ早く寝るぞ!」と決意しても、「ダメだとわかっていてもベッドの中で何時間もSNSをしていた」なんて夜もよくあるのではないでしょうか。それが続くと入眠障害になり、眠ることが出来ないからSNSを見て…とさらに悪循環となります。

 対策としては,夜9時以降はスマホを触らない、というルールを作ることをお勧めします。最初は慣れないと思いますが、どうしても落ち着かない、という場合にはラジオ感覚で音だけ聞いてみたり、軽いストレッチをしてみたり、本やマンガを読んで過ごすなどの工夫をしてみましょう。

 そして、朝は目覚めたらカーテンを開け、太陽の光をしっかり浴びるなどして体内時計をリセット。少しずつでも規則正しい生活を心がけることで、徐々に自然な眠気を感じて寝付くことができる様になります。
町田奈穂

監修者 町田奈穂

大阪カウンセリングセンターBellflower代表。臨床心理士、公認心理師、日本睡眠学会所属。同志社大学大学院在学時より滋賀医科大学附属病院にて臨床・研究活動を行う。現在は、代表を務めるカウンセリングセンター事業のほか、精神・発達障害の人が活躍できるインクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサル活動を行う。

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