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“ほくろ”に似た病気のサインかも…「後天性ほくろ」の原因や見分け方を専門医に聞く

2023-09-14 eltha

 紫外線でダメージを受けた肌は、秋になるとシミやほくろといった症状が顕著に現れます。ほくろは、顔や体の特徴の1つとして捉えられることもありますが、実はほくろにはさまざまな種類や原因があり、美容だけでなく、健康にも影響を与える可能性があります。本記事では、ほくろの基礎知識から予防法、ほくろに関連する病気について紹介します。

後天性のほくろは紫外線だけでなく、ストレスやホルモンバランスも要因に

 ほくろには、大きく分けて2種類あります。1つは「先天性」のもので、遺伝的な要因が強いとされています。数が多くなく、増えたり大きくなったりすることはありません。もう1つは「後天性」のもので、成長途中や日常生活でできるものです。数が多く、増えたり大きくなったりすることがあります。また、後天性のほくろは、下記のように細かく分類されます。

(1)境界母斑:母斑細胞が表皮と真皮の境界部にあり、平らで黒色や茶色をしています。
(2)真皮内母斑:母斑細胞が真皮層にあり、盛り上がって色が薄いことが多いです。
(3)複合母斑:境界母斑と真皮内母斑の混合型で、盛り上がって色が濃いことが多いです。
(4)色素性痣:小さな黒い点状で、子どもの頃からできることが多いです。
(5)色素性母斑:大きな茶色や黒色で、思春期以降にできることが多いです。

 なぜ後天性のほくろができるのでしょうか? その原因には以下のようなものがあげられます。

(1)紫外線:日光や日焼けマシーンなどから受ける紫外線は、メラニン色素を増やす刺激になります。メラニン色素は肌を守る役割を持ちますが、過剰に生成されると色素沈着やほくろを引き起こします。

(2)ホルモンバランス:妊娠や更年期などでホルモンバランスが変化すると、メラニン色素の分泌量や分布に影響を与えます。特に女性ホルモンはメラニン色素の生成を促進する作用があります。

(3)ストレスや老化:ストレスや老化によっても、メラニン色素の生成や排出に関わるターンオーバー(古い角質が剥がれ落ちて新しい皮膚が生まれるサイクル)が乱れます。ターンオーバーが正常に行われないと、メラニン色素が肌に残ってしまいます。

(4)遺伝:先天性のほくろは遺伝的な要因が強いとされていますが、後天性のほくろも遺伝によって影響を受けることがあります。親族にほくろの多い人がいる場合、その体質が受け継がれる可能性が高くなります。

大きくなったら要注意、刺激しないことが重要

 「気がついたら大きくなっていた…」という人もいるでしょう。それは、ほくろができる原因と同じで紫外線やホルモンバランス、ストレスや老化などによって、メラニン色素を含む母斑細胞が増殖することで大きくなります。また、刺激を与えたり、皮膚を傷つけたりすることも、大きさに影響を与える可能性があります。

 また、遺伝や紫外線の刺激、女性ホルモンの変動などが関係している可能性があると考えられています。ほくろは基本的に良性ですが、中にはほくろに似た悪性の皮膚がんや腫瘍もあります。ほくろが大きくなる場合に注意すべき病気としては、以下のようなものがあります。

(1)悪性黒色腫(メラノーマ):皮膚にできるがんの一種で、ほくろやしみのような見た目をしています。成人後にほくろに似たものが発生し、急に大きさや色に変化した場合は皮膚科を受診しましょう。悪性黒色腫の特徴としては、病変が左右非対称であること、病変と正常な皮膚との境界が曖昧であること、病変内に色の濃淡があること、病変の大きさが6ミリ以上であることなどが挙げられます。

(2)先天性色素性母斑:生まれつきのほくろで、通常のほくろとは異なり一定の割合で悪性黒色腫になる可能性があります。特に大きな先天性色素性母斑ほど悪性黒色腫になる可能性が高いため、人によっては成人までに切除が必要となる可能性があります。

(3)基底細胞がん:悪性黒色腫と同様に皮膚に生じるがんの一種で、表皮の最下層にある基底層や毛包に発生します。高齢の方に多く、顔に生じやすいがんです。日本人の場合には、病変は黒っぽく徐々に大きくなっていくため、ほくろと間違われることがあります。

 これらの病気は早期発見・早期治療が重要です。治療法としては外科的切除やレーザー治療などがあります。ほくろ除去クリームなどもありますが、自己判断で除去することは危険ですので、専門医に相談しましょう。

 ほくろを増やさないための対策としては、紫外線を浴びすぎないことや日焼け止めクリームの使用や帽子、サングラスなどの着用を徹底することが効果的と考えられます。また、すでにあるほくろをいじったり傷つけたりすると、がんに発展する可能性があるとも考えられていますので、日頃からほくろを刺激しないよう心がけましょう。

「当院では、平坦で小さいサイズホクロの除去についてはレーザー治療、盛り上がりがあったり大きいサイズのホクロは切除法を主に行っています。なるべく傷跡を残さないようにするためには、テープ保護の正しい期間や使用方法を守ることや紫外線や摩擦などの外的刺激を避けるようにしてください。また、悪性のほくろというのは、ご自身ではなかなか見分けがつかないものです。不安なことがあれば医療機関に相談するようにしましょう」(共立美容外科・遠山貴之さん)
遠山貴之(とおやま たかゆき)日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医

監修者 遠山貴之(とおやま たかゆき)日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医

1997年、順天堂大学医学部卒業。1997年、順天堂大学医学部付属病院・麻酔科に入局。2006年、共立美容外科・歯科に入局。2020年、共立美容グループ・総括副院長に就任。

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