春が近づいて暖かくなると、外に出かける機会も増えるのではないでしょうか。春は楽しいことが多い反面、肌トラブルが増える季節でもあります。「いつもと同じスキンケアをしていても、赤みやかゆみ、乾燥、ニキビなどの肌トラブルが起こり、原因が分からず相談に来る方も数多くいらっしゃいます」と、皮膚科医の吉木先生は話します。季節の変わり目は肌が荒れやすくなりますが、その中でも特に春に肌トラブルが増えるのはなぜでしょうか。春のゆらぎ肌の原因と、悩まないための対処法を吉木先生に伺いました。
春のゆらぎ肌の原因は「バリア機能の低下」
肌のバリア機能
「春に肌荒れが起きやすいのは、バリア機能が低下した肌が外部刺激に弱くなっているからだと考えられます」と吉木先生。肌の表面にあるわずか0.02mmの角層が皮膚のバリア機能の役割を担っており、角層の内側にある水分や細胞間脂質が逃げるのを防いでいます。肌のうるおいが保たれていれば、バリア機能は保たれます。さらにバリア機能には、花粉などのアレルゲンや細菌などの侵入を防ぎ、紫外線などの外部刺激から肌を守る役割もあります。
「冬は乾燥した空気によって肌のうるおいが奪われて乾燥し、バリア機能が低下した状態になっています。そこに、春特有の花粉や紫外線による刺激が加わると、肌がピリピリする、ニキビができる、赤くなるなどといった肌トラブルが起きやすくなるのです」
花粉症だけじゃない、実は肌荒れにも影響する“花粉”
花粉の実験の結果
「春は花粉などのアレルゲンが多く飛んでいます。これらのアレルゲンがバリア機能の低下した肌に付着すると、アレルギー反応により肌荒れを起こすことがあります。こうした症状を花粉皮膚炎と言い、花粉はくしゃみや鼻水などの花粉症の症状だけではなく、肌荒れも引き起こすことが分かっています」
マスクをしているからといって、油断はできません。ユースキン製薬株式会社は、マスク着用時における花粉の付着について実験(※)を行いました。すると、マスクの隙間から花粉が侵入し、目の下あたりに密集することがわかりました。隙間から侵入した花粉は、他の箇所より高い密度で、目の下あたりに付着し、影響を及ぼすことが確認されました。
※不織布マスクを顔の形状をした模型に着用し、花粉に見立てた疑似粒子(肌ケア用粉末:平均粒子直径約20μm)を顔全体に噴射
春特有の紫外線やストレスも要因に
紫外線量は2月後半から増えはじめます。「紫外線に当たると肌が乾燥して皮膚のバリア機能が低下するため、肌トラブルを引き起こしやすくなります。さらに、肌のハリや弾力のもととなるコラーゲンを破壊したり、メラニンを増やしてシミの原因を作ったりする紫外線A波は、春が1年で最も強いとも言われています。早い時期から紫外線対策をすることが大切です」と吉木先生は話します。
「また、春は進学・就職・異動など、環境変化が起こりやすい時期でもあることから、それに伴うストレスによってホルモンバランスが乱れ、肌荒れにつながることもあります」
春のゆらぎ肌には“敏感肌用”での保湿がおすすめ
「皮膚のバリア機能が低下した肌には、スキンケア用品自体が刺激となることがあります。そのため、スキンケア用品は肌への刺激が少ない敏感肌向けのものを選びましょう。目や口のまわりなどのデリケートな部分に使うときは、低刺激のものを選びましょう。ただし、顔に初めて使用するときは、必ず試し塗りをするよう心がけてください」と吉木先生は話します。
「また、肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下するため、洗顔後はすぐに化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿ケアを行いましょう。肌荒れが気になるときは、週1,2回フェイスマスクでしっかり保湿するのもおすすめです。肌に必要な水分と油分を補給することで、バリア機能をサポートできます」
うるおい成分 「しその葉エキス」配合の敏感肌用スキンケアブランド「ユースキン シソラ」
監修者
吉木伸子先生
よしき皮膚科クリニック銀座 院長。 横浜市立大学医学部卒業、慶応義塾大学病院皮膚学教室に入局。浦和市立病院(現さいたま市立病院)皮膚科勤務、日本漢方研究財団附属渋谷診療所での研修等を経て、現在はよしき皮膚科クリニック銀座 院長。レーザー、ケミカルピーリングなどの美容皮膚科学と漢方を取り入れた皮膚科療法を行っている。