「八重歯人気」の裏で…　男女の本音とデメリット

　アニメ＆アイドル文化の影響もあって人気の八重歯。昨今では“付け八重歯”なるものも登場しているが、八重歯が欧米では忌み嫌われているのは周知の事実。oriconMEが20〜40代の男女を対象に調査を実施したところ、八重歯に対するセキララな本音が浮かび上がったほか、今現在八重歯だという人や過去に八重歯だった人からも、さまざまな苦労話が寄せられた。

■歳をとったらイタいだけ？　「八重歯が似合うのは10代まで」
　「八重歯の女性」についての印象を男性たちに聞いたところ、「ほどほどならアクセントになる」（東京都・30代）など55.3％の人が【かわいいと思ったことがある】と回答。しかし、八重歯が似合う年代を聞いたところ、【10代】は47.7％でもっとも多く、【20代】では20.3％と半数以下に激減。【30代】でも八重歯が似合うと答えた男性はわずか1.0％という結果となり、「かわいいで済むのは若いうちだけ」（千葉県・30代）という辛らつな意見が続出した。

　“八重歯は若いうちだけ”という考え方は女性たちも同様。自分が八重歯になったら嬉しいと思う？と聞いたところ、66.6％が【思ったことはない】と回答。「若いときは、確かにかわいく見える人もいる。でも、八重歯は歯並びが悪いだけ」（神奈川県・20代）という意見が多数挙がり、八重歯の人からは「上唇が八重歯にくっつくし、歯を磨くのが大変だから、いらないです」（東京都・30代女性）という嘆きが…。歯列矯正を行った人からは「治してみて思うのは八重歯のせいで口元が歪んでいたこと。非対象の笑顔だったと思う。治した今でも筋肉が左右違います」（宮城県・30代）というコメントが寄せられた。

■八重歯が思わぬトラブルを招く
　「ファッションとしての八重歯は、一概に否定するものでもないと思います」と、“文化としての八重歯”に理解を示しつつも、八重歯があることによるリスクについて教えてくれたのは、トルナーレデンタルクリニック院長の龍信之助先生。「八重歯は、左右の歯と重なりあって飛び出ているために、非常に磨きにくいというデメリットもあります。八重歯周辺を清潔に保つためには、複数のブラシを使い分けて、こまめに歯みがきをしなければならず、非常に手間がかかり、なかなか続けることはできないんです」。

　磨きにくい八重歯は虫歯になる確率が高まるだけではなく、さまざまなトラブルが起こることもあるんだそう。「犬歯は上下の歯のかみ合わせをガイドする大切な役割を果たしています。八重歯などによってそのガイドが失われ、かみ合わせが悪くなると、顎関節症などの一因になってしまう場合もあるんです」（龍先生・以下同）。

　やはり、八重歯はいつまでも残しておくものではなさそう。とはいえ歯列矯正にはお金がかかる…。多くの人が悩むこの金銭問題に、龍先生が“考え方のヒント”と歯列矯正のメリットを教えてくれた。「例えば、100万円の車は買えても、歯列矯正には躊躇してしまう人は多いと思います。車はどんなに丁寧に乗っても大抵は10年で乗り換え時期が来ますが、美しい歯並びはしっかりメンテナンスをすれば一生もの。矯正することでケアしやすくなり、その後の治療費などが安く済む場合も多いんです。最近は透明のマウスピース型矯正器具『インビザライン』が日本でも普及しているので、ワイヤー治療に抵抗があった人でも治療しやすくなっています」。

　昨今では、“美しい歯並びは一生もの”という考え方が日本でも浸透し始めており、技術の進歩もそれを後押ししているという。“世界基準の歯並び”に対する意識の高まりは、国際化の波と共に押し寄せているようだ。

2013-12-13