「不安も吹き飛ばす“心の救助犬”に」7匹のセント・バーナードの仔犬たち、ドタバタな日常劇が眼福すぎた

　満杯のエサが入った大きなドーナツ型の器に、ピョンピョンと群がる7頭の仔犬たち。仔犬たちの食事シーンを映した動画がTwitterに公開されると「混雑具合がたまらなく愛しい」「エキサイティングすぎるディナー」などと大きな反響を呼んだ。犬はセント・バーナードの仔犬たちで、投稿主はセント・バーナードを育てるのは今回が4世代目という、札幌でドッグカフェを営むキシイーヌさん（@kishidog）。毎日ドタバタだったという7頭の仔犬たちとの日常について話を聞いた。

　今年1月に生まれたばかりの7頭のセント・バーナードの仔犬たち。飼い主であるキシイーヌさんのTwitterでは仔犬たちや母デイジーの日々の成長が動画や画像で記録されている。

――7頭の仔犬たちの成長の様子はSNSで話題になり、多くの人が日々癒やされているように感じました。
【キシイーヌさん】母犬のデイジーも仔犬の頃から僕がずっと育ててきた家族。今回産まれた７頭の仔犬は、僕がヘソの緒を切って取り上げ、産湯に入れ、ミルクを飲ませて大切に育ててきた仔達なので「可愛いお孫さんですね！」と皆に褒められたおじいちゃんの気分です。また、「尊い癒やしだ」と喜んでくださり心の拠り所になさっている方がいることも知りました。セント・バーナードは救助犬として活躍してきた歴史があります。昨今の殺伐とした空気もあり、精神的に遭難しかけている人達の心を支える救助犬になっていたとしたら、とても嬉しく誇らしいことだなぁと思います。

――キシイーヌさんから見て、仔犬たちがかわいいと感じる瞬間は？
【キシイーヌさん】まだ目も開かず、自分の足でしっかりと立ち上がることもできない赤ちゃんが、誰にも教わることなくママのおっぱいを見つけ出し必死に吸い付いて母乳を飲む。その姿は、見ていて思わずチカラが入ります。震えながらも口はしっかりと乳首にしがみついていて、この弱々しさと力強さが共存している姿が実に神秘的で愛おしく、この尊いものを何としても守ってやりたいという気持ちになりました。

――7匹もの仔犬たちの世話はさぞかし大変な思いをされたはず。
【キシイーヌさん】今回、母犬のデイジーの母乳の出があまり良くなく、粉ミルクを使った人工哺乳を併用したのですが、7頭分のミルクを3時間おきに繰り返し作って与えるのが本当に大変でした。離乳期になると今度は自分たちで歩きまわって好きな場所に排便をするので、その監視と撤去処理でほとんど眠れない日々を過ごしました……。ペットシーツも1日に3回は交換、苦労して敷き終わっても直後に排尿されてしまうことがしばしば。これは開き直って自虐ツイートのネタにしてましたけどね（笑）。

　6頭の赤ちゃんはセント・バーナードの飼育に慣れているご家庭のところにそれぞれ引き取られ、現在、キシイーヌさんのもとには母犬のデイジーと仔犬ドーンくんがいる。ドーンくんはキシイーヌさんが経営する犬カフェ”バーナード・スクエア”で先日看板犬デビューを果たしたばかりだ。

――セント・バーナードを長年飼育されてきていますが、改めてセント・バーナードの魅力とは？
【キシイーヌさん】セント・バーナードは全ての犬種の中で「いちばん体重が重い犬種」とされる「超大型犬」です。成長すれば人間の大人と同じぐらいのサイズになり、歩くスピードや動作の緩慢さが人間の大人にとても近く、我々の生活ペースにとても合わせやすいのが魅力です。家では騒がずにノソノソと歩くか、黙って静かに寝ているだけですし、散歩の時も人間側が無理に速度を合わせて歩く必要もありません。「落ち着いた大人」がひとり家族に加わると考えるとちょうどいいかも知れませんね。

――ママのデイジーちゃんとドーンくんと、今後どのように暮らしていきたいですか？
【キシイーヌさん】まずは、健康に育てることが目標です。そして今回の仔犬はみんなセント・バーナードらしい優しい性格に生まれてきていると思うので、その性格を曲げてしまうことなくありのままに育つように配慮したいです。仔犬たちの中で1頭だけ僕のもとに残したドーンは、デイジーと一緒にカフェの看板犬として活躍してもらっています。お客さんにタップリと可愛がってもらって、そのお返しに、みなさんの心を癒すこともできる現代の救助犬として活躍させたいと思います。