【藤井】そういったお声をいただけて本当によかったし、嬉しく思います。お料理が好きな方や得意な方ばかりではないですから。私自身も、料理研究家という仕事をしているとはいえ、毎日お弁当を作るのは本当に苦痛でした(笑)。なので、今お弁当を作っている方に、少しでも楽に思ってもらえたら幸いです。
――“こんな人に手に取って欲しい”という思いはありますか?
【藤井】「もうお弁当なんか作りたくない」と思っている方に一度見て欲しいです(笑)。今回は幼稚園生向けではないですが、お弁当作りが初めての方にもぜひ見ていただけたらと思います。あとは、男性にもオススメです。実は、社会人になって一人暮らしを始めた甥っ子も「本を見て作れるようになったよ」と連絡をくれて。実際に活用してくれて、とても嬉しかったですね。
――コロナ禍で、自分のために毎日お弁当を作ったり、外食をせず家で料理をする機会も増えたように思います。毎日続けるためには、無理せず作れることが重要なのかもしれませんね。
【藤井】お弁当も食事も、無理をしないことが一番心の栄養になると思います。ストレスになってしまったら、何もいいことがないですから。今回は、何品も入っている華やかなお弁当ではないけれど、“生活に根付いたお弁当本”ができたと思っています。
――娘さんが成長されて、お弁当作りは卒業されたということですが、改めて、お弁当を作っていた頃を思い返していかがですか?
【藤井】今は、作っていてよかったなと思います。大変でしたし、何度も500円玉を持たせて「これで買って」と言おうかと思いましたが、結局作り続けたんですよね。もうちょっと楽してもよかったかもしれないと思うので(笑)、みなさんにはぜひ楽になって欲しいです。
――最後になりますが、今後取り組んでみたいテーマがあれば教えてください。
【藤井】私自身お酒が大好きなのですが、今はなかなか気軽に会食や飲み会ができないですよね。今までおつまみ本はたくさん出しているのですが、今度は洒落たものではなく、私が普段仕事を終えた後に簡単に作っているおつまみの本を出したいです。
――確かに、家飲みする方も増えていますよね。
【藤井】手をかけなくてもおいしいものって、意外とたくさんあるんです。“ちくわのマヨ辛し和え”とか、“千切りキャベツの塩昆布和え”のように、おいしくていくらでも食べられる簡単なレシピをまとめて本にできたらいいなと思っています。