リアル“silent”夫婦が明かす聴者とろう者の恋「聞こえる/聞こえないを意識しないで一緒にいられたのは不思議だった」
2022-12-22 eltha
ドラマ『silent』が本日22日のクライマックスに向けてますます視聴熱が高まる中、聞こえない夫と聞こえる妻がありのままの日常を配信する「みゆみゆチャンネル」がYouTubeで話題となっている。中でもドラマの感想をろう者と聴者それぞれの視点から語り合う動画は「silentが伝えようとしていることがより深くわかった」と、ドラマの行方と共に注目する視聴者が多い。紬と想の未来への希望も抱かせてくれる“リアルsilent夫婦”に話を聞いた。
『silent』を通して感じる、ろう者・夫の率直な想い「聴者と一緒にいて『負担じゃないか』と心配になってしまう」
ドラマ『siient』は、川口春奈演じる主人公の青葉紬が、かつて本気で愛した目黒蓮扮する佐倉想と、音のない世界で再び出会う恋愛ストーリー。いよいよ本日最終話を迎えるが、聴者である紬と後天的にろう者になった想の距離は縮まるにつれて、気持ちがすれ違っていく。多くの視聴者が見守る中、どこよりも考察が深いとして話題を呼んでいるのが、YouTubeの「みゆみゆチャンネル」だ。
チャンネルを配信するのは聞こえない夫・ととさんと聞こえる妻・ゆうこさん。2人は手話で会話するが、字幕付きでろう者も聴者も問題なく視聴できる編集になっている。
チャンネルを配信するのは聞こえない夫・ととさんと聞こえる妻・ゆうこさん。2人は手話で会話するが、字幕付きでろう者も聴者も問題なく視聴できる編集になっている。
「最初はドラマの人気にあやかって若い視聴者を獲得するぞみたいな気持ちで(silent考察トークの)動画を作ったんです(笑)。ところが想像以上にドラマにハマってしまって。ドラマの感想を語り合うことで『こんなふうに考えてたんだ』とお互い改めて知ることも多いですね」(ゆうこさん)
ととさんは作中に出てくる奈々(夏帆)と同じく、生まれつき耳が聞こえない。
「中途失聴の想くんの気持ちは『考えすぎじゃないかな』と思うこともありますね。ただ聴者と一緒にいて『負担じゃないか』『気を使わせてしまってるんじゃないか』と心配になってしまうことがあるのは僕も同じです。でもゆうこさんとは出会ったときから、聞こえる/聞こえないを意識しないで一緒にいられたんですよ。自分でも不思議だったんですけど」(ととさん)
ととさんは作中に出てくる奈々(夏帆)と同じく、生まれつき耳が聞こえない。
「中途失聴の想くんの気持ちは『考えすぎじゃないかな』と思うこともありますね。ただ聴者と一緒にいて『負担じゃないか』『気を使わせてしまってるんじゃないか』と心配になってしまうことがあるのは僕も同じです。でもゆうこさんとは出会ったときから、聞こえる/聞こえないを意識しないで一緒にいられたんですよ。自分でも不思議だったんですけど」(ととさん)
めったに笑わない彼の笑顔を見たい――子連れ再婚へ 大好きだったカラオケも「ととさんと溝ができてしまうくらいなら、別にいいかな」
ご夫婦はゆうこさんが2人の娘を連れて再婚する形で家族になった。現在は三女も生まれている。出会いは同じ職場で、ゆうこさんが手話通訳を担っていたことから距離が縮まったという。
「ただ当時は私の手話も下手で、たぶんろう者にも100%は伝わってなかったと思うんです。でも、ととさんは全部を読み取ってくれたんですよね」(ゆうこさん)
母国語が違うカップルが、互いにつたない言語で語り合うようなものなのだろうか。
「たしかにろう学校時代の友人のほうが手話もスムーズですけど──。でもゆうこさんとは最初のデートから、会話がすごく弾んだ記憶があるんですよ」(ととさん)
「ただ当時は私の手話も下手で、たぶんろう者にも100%は伝わってなかったと思うんです。でも、ととさんは全部を読み取ってくれたんですよね」(ゆうこさん)
母国語が違うカップルが、互いにつたない言語で語り合うようなものなのだろうか。
「たしかにろう学校時代の友人のほうが手話もスムーズですけど──。でもゆうこさんとは最初のデートから、会話がすごく弾んだ記憶があるんですよ」(ととさん)
ととさんの性格を「最上級に優しい」と言うゆうこさん。その笑顔に惹かれてゆうこさんが積極的に口説く形で交際が始まった。
「彼は当時めったに笑わない人だったんです。だから笑ってくれるとうれしくて。そのうち彼の笑顔に幸せを感じるようになっていきました」(ゆうこさん)
ろう者と聴者を“隔てる”ものとして、ドラマ『silent』では音楽が重要なエッセンスになっている。ゆうこさんもととさんと付き合うようになってから大好きだったカラオケをやめたというが、そこにはどんな想いがあったのだろうか。
「ととさんと溝ができてしまうくらいなら、別にいいかなって思うようになったんです。カラオケができないことが、それほど苦だとも思わなかったですしね」(ゆうこさん)
ドラマではバリアフリー映画を提案する紬に、想が「自分と一緒でなければ自由に映画のラインナップを選べるのでは」と気にかけるシーンもあった。そんな想に紬は「ただ一緒にいたいだけ」と伝える。
「ゆうこさんがカラオケをやめたと聞いたときは驚きましたね。でも一緒に過ごす時間も増えるわけですし、自然とそうなってくれたんだったら──。夫婦ってそういうものなのかなとも思うようになりました」(ととさん)
「彼は当時めったに笑わない人だったんです。だから笑ってくれるとうれしくて。そのうち彼の笑顔に幸せを感じるようになっていきました」(ゆうこさん)
ろう者と聴者を“隔てる”ものとして、ドラマ『silent』では音楽が重要なエッセンスになっている。ゆうこさんもととさんと付き合うようになってから大好きだったカラオケをやめたというが、そこにはどんな想いがあったのだろうか。
「ととさんと溝ができてしまうくらいなら、別にいいかなって思うようになったんです。カラオケができないことが、それほど苦だとも思わなかったですしね」(ゆうこさん)
ドラマではバリアフリー映画を提案する紬に、想が「自分と一緒でなければ自由に映画のラインナップを選べるのでは」と気にかけるシーンもあった。そんな想に紬は「ただ一緒にいたいだけ」と伝える。
「ゆうこさんがカラオケをやめたと聞いたときは驚きましたね。でも一緒に過ごす時間も増えるわけですし、自然とそうなってくれたんだったら──。夫婦ってそういうものなのかなとも思うようになりました」(ととさん)