2児の母となった相武紗季、4年ぶりドラマ出演で家族に“結束力”「育児と仕事の両立にオフはない」

　今夜最終回を迎えるドラマ『リバーサルオーケストラ』（日本テレビ系）に出演中の相武紗季。第4話からサプライズ登場し、Twitterでもトレンドに。田中圭演じる常葉朝陽と親密な“謎の女”として、物語にスパイスを加えた。今年で俳優デビュー20周年を迎える相武だが、ドラマの出演は第2子出産後初の4年ぶり。いまや5歳の息子と2歳の娘を育てる2児の母となった彼女に、久々の連ドラ復帰への思いと、育児と仕事の両立の苦労を聞いた。

――第2子出産後初の連ドラ出演となりましたが、オファーを受けたときのお気持ちは？

相武紗季お仕事はずっとしていたんですけど、連続ドラマは久しぶりでした。ずっとやりたいなとは思っていたんですけど、子どもが2人になってからは手一杯で。戻れるか不安もありましたが、今回はスケジュールも考慮いただいて、フルでは出てないですけど、作品の中盤から関わることができて、すごく嬉しかったです。

――久しぶりのドラマの現場はいかがでしたか？

相武紗季緊張しました！初日の最初のシーンがイタリア語だったんですよ。それもあってすごく緊張していたんですけど、スタッフさんを含め、以前ご一緒した方が多かったので、再会できてやったーみたいな（笑）。現場に入ったら、安心して楽しく臨むことができましたね。

――今作でも関わりの深い指揮者・常葉朝陽を演じる田中圭さんとは、これまでもご共演が多いですよね。

相武紗季圭くんとは、私にとって初めての連ドラだった『WATER BOYS』から一緒で。ゲスト出演だった私に、圭くんだけが「大丈夫ー？」ってフランクに声をかけてくれたのを、今でも覚えています。その頃から優しくて、場を盛り上げてくれる方だなと思っていました。その後も恋人役だったり、何度も共演させていただいて。

今回久しぶりにお会いしたんですけど、大人と子どもが共存しているような温かい部分は、10代の頃から本当に変わらないなーと（笑）。でも初共演から20年経って、彼はパパに、私もママになって、空き時間に家族の話ができたのは感慨深かったですね。

――撮影現場の雰囲気はいかがですか？

相武紗季コロナ禍を経て、ドラマ撮影のスタイルや、共演者同士のコミュニケーションも以前とはかなり違った形になっていました。でも、今回はみなさんがそれぞれの楽器と向き合って、オケとして演奏することで信頼関係や団結力が深まっているのを感じますね。主演の門脇麦ちゃんは、夏からずっとバイオリンの練習をしてきたって聞いて、ほかの皆さんも、カットがかかってちょっとでも空きがあると、部屋に戻って一生懸命練習されていて。現場で音が聴こえない日がないんです。

――プロの楽団の皆さんと共に、キャストが実際に演奏しているだけに、オケのシーンは毎回圧巻です。改めて、作品の魅力と最終回の見どころを伺えますか？

相武紗季人とのつながりや結束を、音楽を通して伝えられるところは、このドラマならではの魅力だと思います。音楽に対しての熱い気持ちや、諦めずに突き進めば結果が伴っていくことがまっすぐ描かれている作品です。分かりやすいストーリー展開で、とにかく音楽が素晴らしいので、大人も、小さいお子さんも、ご家族みなさんで楽しんでいただけたら嬉しいですね。

――今年で俳優デビュー20周年を迎えられますが、影響を受けた方はいますか？

相武紗季たくさんいますけど、松嶋菜々子さんですかね。私がちょうど結婚する前だったのかな。「お母さんになっても仕事はできるからね。大変だけど大丈夫よー」ってにこやかにおっしゃって。さらりとすごいことをおっしゃる方で、でも松嶋さんが言うとできそうな気がして。

仕事に向き合う姿勢とか、作品や自分に対してはストイックだけど、他人に対しては全然ストイックじゃないんですよ。他の人にこうしなさいああしなさいじゃなくて、作品を良くするためにこうした方が良いんじゃないかなっていうのを明確に持っていらっしゃった。毎回そういう方に出会えると、素敵です！メモメモ！って感じでした（笑）。

――実際に相武さんも2児の母となってからも変わらずご活躍されていますが、結婚や出産を経て、仕事への向き合い方は変わりましたか？

相武紗季変わりましたね。子育てがあるので、仕事をやりたくてもできないモヤモヤした感じは、第1子の時から感じていました。出産して3ヵ月で声の仕事から始めて、半年でドラマにも戻ったんですけど、1年くらいしたら、それが本当に良かったのか悩み始めたりして…。松嶋さんのようにさらっと「できるわよー」って、完璧な人にしか言えないんだよー（泣）って思いながら…（笑）。でも松嶋さんの言葉を胸に、できると思って乗り切るしかないかなと思ってます。

――相武さんがドラマに復帰されて、お子さんにも何か変化を感じましたか？

相武紗季5歳の長男は、わからないなりにも「ママ忙しそう」っていうことを感じてくれているみたいです。ブーブー言いながらも、自分のことを自分でやるようになりました。甘えん坊だった息子が、「ママがいなくても1人で寝る！」とか、今までは「ママがいい」だったのが、「パパでもいい」に譲歩してくれるようになりました（笑）。

――葛藤しながらも、息子さんなりに理解されているのですね。

相武紗季「パパの株上がったな」って、主人にも良い影響があったみたいです（笑）。仕事の復帰は私にとって挑戦でしたけど、家族も私が頑張ってるから支えようと思ってくれたみたいで、結束力が強まったと思います。それに、子どもたちのことは、今まではなるべく見ていたけど、手を離すと意外と成長していることが分かって、子どもの力ってすごいなぁと。仕事を通して、母としても色々な気づきがありました。

――仕事と育児を両立する上で、心がけていることはありますか？

相武紗季母親である限り、ある程度のストレスはかかると思いますが、どうしたら子どもたちに良い影響を与えながら仕事ができるかを考えています。風邪を引いた時に一緒にいられないとか、お迎えに行けないとか、どうしてもマイナスなことを考えてしまいがちだけど、そういうことを考え出すと、本当に何もできなくなってしまう。だから今は割り切って、できないことより、できていることを考えるようにしています。

――ポジティブに変換することは大事ですよね。

相武紗季好きなことをやって、楽しそうなママの姿を見せることで、子どもたちにとってもプラスになってるはずと考えるようにしたり、仕事が終わったらご褒美に家族旅行をして思い出を作ったり。申し訳ないと思うこともあるけど、その分楽しいことをたくさんして、記憶に残してもらえたらと思っています。もちろんイライラすることもありますけど、できるだけ見せないように気をつけていますね。

――仕事とプライベートの切り替えはどうしていますか？

相武紗季あまり器用なタイプではないので、時間ではなく、なんとなく日で分けていますね。今日はドラマ見たり自分の勉強したいから仕事モード、別の日は子どものことだけ考えて、公園連れてって、何々食べてって、1日子どものことで終わったりとか。どっちもオフがないから疲れはしますけど、それでも上手いバランスが見つかりそうかなと思ってます。今はひとつずつトライ＆エラーを繰り返しているところです。

――最近では『オードリーのNFL倶楽部』で、バラエティのMCにも挑戦されていましたが、育児と両立しつつ、今後挑戦してみたい仕事はありますか？

相武紗季実はここ数年、ネグレクトの役のオファーをたまたま連続で何件か頂いたんですけど、育児を始めたばかりだったのでお断りしたんです。深いメッセージ性のある作品で、やりたかったんですけど、母性との闘いになってくるので、私生活に影響してしまいそうで…。でも今なら子育てがちょっと落ち着いてきて、母性もコントロールできるので、やれるかなって思います。そういったパンチが効いた役とか、幅のあるお母さん役とか、挑戦したことのない役もできるときにどんどんやっていきたいですね。


（取材・文=辻内史佳／撮影＝逢坂聡）