若くても発症する紫外線による“光老化” 左右非対称のシワやたるみの原因にも…プロが教えるホームケア
2023-09-13 eltha
加齢によって起こる老化現象とは異なる「光老化」 若年層でも発症し、進行が早い
(1)早期に発症する:紫外線の量や質によって変化するため、加齢による老化よりも早期に発症する可能性があります。特に日本は紫外線量が多く、年間を通して紫外線にさらされる機会が多いため、若年層でも光老化のサインが現れやすいです。
(2)非対称に現れる:紫外線にさらされた部分にのみ現れるため、左右非対称になることがあります。例えば、運転中に右側の窓から入ってくる紫外線で右側の肌が老化したり、日傘を持つ手の方が左右で肌の色が違ったりすることがあります。
(3)進行が早い:一度起こると止まらないばかりか、加速度的に進行することがあります。紫外線は肌のDNAを傷つけて変異を引き起こし、皮膚がんや免疫力の低下などのリスクを高めます。また、紫外線は肌の抗酸化力を低下させて活性酸素を増やし、肌の老化を促進させます。
「光老化とは、紫外線を浴び続けることによってひき起こされる肌のしみ、しわ、たるみなどの皮膚の変化のことです。紫外線を浴びた時間と強さに比例するとされるので、年齢に関わらず発症します」(遠山貴之さん)
「光老化」による症状は自然老化とは異なるため、予防や治療が可能
(1)しわ:紫外線は真皮層のコラーゲンやエラスチンを分解することで、皮膚の弾力やハリを低下させます。その結果、細かいしわや深いしわができます。
(2)たるみ:紫外線は皮下組織の脂肪や筋肉にも影響を与えることで、皮膚の支持力を弱めます。その結果、頬や目の下などにたるみができます。
(3)シミ:紫外線はメラニン色素の生成を促進することで、皮膚に色素沈着を引き起こします。その結果、日光黒子や光線性花弁状色素沈着などのシミができます。
(4)黄ばみ:紫外線は真皮層の弾性線維にダメージを与えることで、皮膚に黄色味がかった色調を与えます。その結果、肌色がくすんだり不均一になったりします。
(5)乾燥:紫外線は角化細胞の水分保持能力を低下させることで、皮膚のバリア機能を損ないます。その結果、皮膚が乾燥しやすくなったり、敏感になったりします。
(6)ごわつき:紫外線は角質層の厚みを増加させることで、皮膚の表面に凸凹や硬い塊を作ります。その結果、皮膚がごわついたりざらついたりします。
これらの症状は、「光老化」によってもたらされるエイジングサインです。加齢による自然老化とは異なる現象であり、予防や治療が可能です。「自宅でできるケアとしては、やはり紫外線対策の徹底が有効でしょう」(遠山貴之さん)と言うように、日常的に日焼け止めを使用したり、帽子や日傘などで直射日光を避けたりすることが重要です。また、レチノイドやビタミンCなどの抗酸化物質を含む化粧品やサプリメントを使用するのも良いでしょう。
独自ケアが難しいシワやたるみ 根本的に改善するフェイスリフトという選択肢も
(1)ヒアルロン酸注入:ヒアルロン酸は、人体にもともと存在する保湿成分です。シワやたるみの部分に注入することで、皮膚をふっくらさせてシワやたるみを目立たなくします。
(2)ボトックス注射:ボトックスは、表情筋の動きを一時的に抑える薬剤です。表情筋の動きによってできるシワ(眉間や目尻など)に注射することで、シワを軽減します。
(3)レーザー照射:レーザーは、皮膚の表面や真皮層に熱エネルギーを与えることで、肌のターンオーバーやコラーゲンの生成を促進します。肌のキメや弾力が改善され、シワやたるみが目立たなくなります。
(4)糸リフト:糸リフトは、体内に吸収される糸を皮下に挿入することで、たるんだ皮膚や脂肪を引き上げる方法です。顔全体や部分的なリフトアップが可能で、若々しい印象になります。
(5)脂肪注入:脂肪注入は、自分の太ももなどから吸引した脂肪を顔に注入する方法です。ヒアルロン酸よりも持続性が高く、自然な仕上がりになります。
一概にシワの治療といっても、場所などでその対処方法も異なります。
「シワといっても様々なシワがありますので、当院ではシワの種類に合わせて治療法をご準備しています。例えば、小ジワだとPRP療法やスネコス注入。表情ジワだとボトックス。ほうれい線の深いシワなどには、ヒアルロン酸注入がおすすめです」(遠山貴之さん)
また、たるみ治療にも様々な方法があります。
「たるみ治療だと、糸リフトやハイフが人気の治療となっていますが、根本的に改善するフェイスリフトという選択もあります。ただ、メスを入れて切る手術は安易に決めてしまうと元に戻せなくなってしまうので相談が必要です。当院ではドクターがカウンセリングを行い、適切な治療法を提案させていただきます」(遠山貴之さん)
紫外線対策を念入りに行っても起こりうる「光老化」。早期治療で美肌を取り戻すことも可能なので、気になる兆候があった場合は、専門医に相談しましょう。
監修者 遠山貴之(とおやま たかゆき)日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医
1997年、順天堂大学医学部卒業。1997年、順天堂大学医学部付属病院・麻酔科に入局。2006年、共立美容外科・歯科に入局。2020年、共立美容グループ・総括副院長に就任。