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声帯をつぶされ保護されたシニア犬が里親に向けた笑顔、旅立つ直前に「もう行くよ」想い伝えてくれた

2021-11-07 eltha

飼い主さんに優しい笑顔をむける、ルーさん 17歳9ヵ月で天国へと旅立った

飼い主さんに優しい笑顔をむける、ルーさん 17歳9ヵ月で天国へと旅立った

 まったく身体を動かせなくても、車イスに乗せると4本の足が動き始めるーー。リハビリも兼ねて、飼い主さんと毎日の散歩を楽しむシニア犬の姿がツイッターで話題になった。ルーさん(推定17歳)は、飼い主さんが里親として10年前に引き取った”おばあわん”で、ご飯と日々のお散歩が大好きだったという。残念ながら先日天国へと旅立ったが、飼い主さんはルーさんと過ごした日々を「いつまでも一緒にいたくて、ただただ必死だった」「ルーさんは私の全てだった」と振り返る。シニア犬を介護する大変さはあったが、何物にも代えがたい愛おしさを常に感じていたという。

10cmほどのリードに繋がれ、声帯がつぶされていた

ーールーさんは、どのようなきっかけで、ご自宅に迎えることになったのでしょうか?

「先代犬を見送り、そろそろ保護犬を迎えようと考えていた時に里親譲渡会がありました。会場にいたのは9割方猫さんだったので『今日はワンちゃんは居ないのですか?』とお伺いしたところ、『少ないけど黄色いバンダナを付けてる子はそうですよ』と返事があり、『え!じゃ、あの茶色の子もそうなんですか?』と振り返った瞬間、ルーさんが私の元へ走ってきてくれたのです。その後はもう何も悩む事はありませんでした」

ーーご自宅に来たばかりの時は、ルーさんはどのような様子でしたか?

「里親譲渡会の方から聞いたお話ですが、ウチの子になる前の5〜6年位は、いわゆる『虐待』を受けていたと聞いてます。心に深い傷を負っているので、慣れるまでは大変だろうな…と思って構えていたのですが、ウチに来た日から普通に大の字になって寝てました(笑)。その姿はまるで前からずっとうちの子だよね?って思わせる程でした。そして一緒に過ごせた年数は10年程です」

ーーそれは保護されて本当によかったです。

「聞いたところによると、バケツに溜まったお水がご飯代わりで、近所の人からご飯を貰って、なんとか生きていたそうです。10cmほどのリードで係留されていたらしく、声帯が潰れて声が出ません。一度は里親会に引き取られましたが、すぐに連れ戻され止まない虐待に、近所の方々が見かねて、虐待していた飼い主の留守中に現里親会へ連れてきてくれたと聞いてます」

ーー飼い主さんの元で年を重ね、高齢になってからは歩行が困難になり介護をされていたとのこと。ルーさんにはどのような症状があったのでしょうか?

「ウチに来て3年目位からヘルニアがあり、鎮痛消炎剤の投薬をしていましたが、徐々に悪化して今年の初めに完全歩行不能になりました。徐々に悪化していく中でも筋力を落としたくなくて、ルーさんの体調を見ながらですが、お散歩に行ってました」

ほとんど聞いたことがなかった声で「もう行くよ」と教えてくれた

ーー介護については「食べる事眠る事を忘れ、これ以上無理と思うくらい限界まで頑張ったけど、やり残した感が出てしまうのが介護なのかな…」とつぶやかれていたのが印象的でした。具体的にはどのようなことをされていましたか?

「自力で寝返りが出来ないので、褥瘡予防のために2〜3時間おきに体位変換、同時に水分補給をしてあげていました。褥瘡予防は重要で、ベッドから車イスへの移乗も4〜5時間に1度はしなければなりません。

 自力で首を支える事が出来なくなり、食事は部分介助から全介助になりました。腎機能も悪化していたので、自力排尿が出来なくなり、4〜5時間ごとに圧迫排尿が必要となります。加えて、リハビリを兼ねた車イス散歩を1日3〜4回、体の症状に応じて車イスのメンテナンスとカスタマイズ、ほぼ毎日のように通院していました」

ーーこれほどのことをやり切るのは、飼い主さんの生活を犠牲にしないと難しいですよね。

「ルーさんが少しでも快適に過ごせるようにと、私の生活はルーさんファーストで毎日が動いてました。ルーさんの下僕になれたことに、幸せを感じていました。日々の介護の時間は体力的にとてもキツく、精神的にも不安に感じることばかりでしたが、それを考えてメソメソしてたら時間がもったいない。ルーさんと一緒に居られるその時を楽しもうと常に考えていました。心配は尽きなかったけど何でもやりたかったです」

ーーシニア犬だからこその魅力を、飼い主さんはどのようにとらえていますか?

「ルーさんがウチに来てくれた時は既にシニアに手が届く頃で、いわゆる『可愛いらしい仔犬時代』を知りませんが、ウチに来てくれた当時から温厚な性質だったので、おばあわんになってからもあまり変わらなかった思います。とにかく全てが丸ごと可愛いくて仕方なく、存在そのものが宝物です。

 ご飯が大好きで晩年になっても、転びながらもお茶碗を抱えて食べてくれる姿や、スリッパや靴下やクッションなど落ちてる物を一生懸命咥えて持ってきて渡してくれるのが堪らなく愛おしかったです。必ずしっかりアイコンタクトを送ってくれて、お話してくれるのが特徴的でした」

ーールーさんが、天国に旅立たれたと取材時にお聞きした時はとても驚きました。一緒に過ごされたなかで、印象的な出来事はありましたか?

「前の飼い主の劣悪な環境下での飼育により『声帯が潰れて声が出ない』とお話させていただいたとおり、私はルーさんの声を聞いた事がほとんどありませんでした。それが旅立つ直前の1時間位前でしょうか…今まで聞いた事のない声で『オー』って何回もお話をしてくれました。『そろそろ行くよ』ってご挨拶して教えてくれてたんだと思います」

介護をしている飼い主さんへ「焦らずにその時を大切に過ごして欲しい」

ーールーさんは、飼い主さんにとって、どのような存在でしたか?

「一言で『ルーさんは私の全て』でした。足も体も全てが限界だったと思うのですが、それでも1日3回〜4回のお散歩、旅行やドライブ、ホームセンターやアウトレット…色んな所へ一緒に行きましたが、笑顔で付き合ってくれた優しい子です。

 もう少しのんびりしたかったかな…と反省してますが、諦めが悪い下僕はいつでも一緒に居たくて必死だったんですね…。今は酷いルーさんロスで、ダメダメな毎日を送っていますが、ルーさんが心配しない様に少しずつ前に進まないと行けないな…と思っています」

ーー最後に、ワンちゃんの介護に奮闘されている方に向けて、ワンちゃんとの関わり方についてメッセージなどございましたら、お聞かせください。

「愛する我が子のため、介護に奮闘されてる方々へ

 自分で出来ないことが増えていくことや、加速度的に増える病気、日々のお世話で大変な時間を過ごされていると思います。振り返ると少し前の悩みは何でもない事です。焦らずにその時を大切に過ごして欲しいと思います。

 そして介護は体力勝負です。まとまった睡眠時間を取ることが難しいケースが多いと思いますが、少しでも横になって欲しいと思います。そして何より食べて欲しいと思います。そして笑顔で介護を楽しんで欲しいと思います」

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