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【意識調査】「反ルッキズム」の流れは本当に広がっている? 7割が「見た目による差別はなくなっていない」

2023-04-20 eltha

容姿を理由に差別や偏見、不当な評価をする「ルッキズム(外見至上主義)」。近年、この外見重視の考え方を見直そうという動きが世界的に広まり、国内でも、これまで各地で開催されていた「ミスコン」が縮小傾向にある。“反ルッキズム”――言葉としての広がりを感じる一方で、実際、日常生活において新しい思想はどこまで認知・定着してきているのだろうか。eltha by ORICON NEWSでは、20〜50代の男女1000人を対象に「ルッキズム」の実態と、現在地を調査した。

「ルッキズム」による差別経験をした人は約3人に1人

※調査上ではルッキズム(外見至上主義)、「ルッキズム的な行動」(外見を理由に差別的、屈辱的な態度、不利益な扱い)の表記

※調査上ではルッキズム(外見至上主義)、「ルッキズム的な行動」(外見を理由に差別的、屈辱的な態度、不利益な扱い)の表記

 本調査では、20〜50代の男女各500人、計1000人を対象に「ルッキズムに基づく差別や偏見、不当な扱いを受けた経験」を尋ねると、「ある」と答えた人が34.9%、「ない」人は56.7%、「答えたくない・わからない」人は8.4%という結果となった。男女別にみると女性は「ある」が39.0%、男性は30.8%だった。

 さらに、「ある」と回答した349名に「ルッキズム的行動」(外見を理由に差別的、屈辱的な態度、不利益な扱い)をどのような場面・場所で受けたのか調査したところ、6割以上の人が「学校」と回答。続いて「職場」「恋愛・婚活」などが多かった。
※調査上ではルッキズム(外見至上主義)、「ルッキズム的な行動」(外見を理由に差別的、屈辱的な態度、不利益な扱い)の表記

※調査上ではルッキズム(外見至上主義)、「ルッキズム的な行動」(外見を理由に差別的、屈辱的な態度、不利益な扱い)の表記

▼ルッキズム的な行動を受けた場所・場面
・「学校」65.9%
「小学生の頃、同級生たちに体重を言うまで帰してもらえなかった」(兵庫県30代女性)、「デブは損するからと「デブソン」というあだ名を付けられた」(福岡県50代女性)、「横にも縦にも大きい体に貧相な顔は見ているだけでイライラする、と同級生から壮絶なイジメを受けていました」(東京都50代女性)

・「職場」42.7%
「新入社員の頃“かわいい女子は男性社員の両端に座りお酌しろ”といつも言われていた」(福岡県40代女性)、「以前の会社では男性社員のやる気を出すために可愛い女子社員を採用すると堂々と言っていて、社内コンペも『やっぱり女は顔だよ顔!』とかわいい社員の作品を優勝させてました」(東京都40代女性)、「可愛い同僚と自分ではあからさまに上司の態度が違う」(神奈川県40代女性)

・「恋愛・婚活」24.4%
「男子から背が高い女性とは付き合えないと言われた」(山梨県20代女性)、「終電すぎの飲み会で、可愛い友人は自宅まで送ってもらえて、私は1度も送ってもらったことがない」(神奈川県20代女性)

・「就職・転職活動」17.8%
「視力に問題はないのに斜視を理由に就活を落とされた」(東京都30代男性)、「太っているだけで就職面接時に、遠回しに糖尿病などの病歴を聞かれる」(佐賀県40代男性)

・「家庭」12.6%
「奥二重、和顔なところが母親と似ているが、それらはブスであるという考えを物事ついたときから母親に刷り込まれていたと感じる」(新潟県20代女性)

・「SNS」4.9%
「マッチングアプリである程度やり取りをして仲を深めたはずなのに、顔写真を交換したら露骨に相手の態度が冷たくなったり連絡がつかなくなったことがあった」(富山県30代女性)

・「その他」10.6%
「日常生活の中で、毎日頻繁に起きている。女性にしろ、男性にしろ、見栄えのいいひとに対しては態度が変わるのは、いつもの事です」(東京都50代男性)、「サッカーや野球などをする時、体形を理由にキーパーやキャッチャーをやらされる」(熊本県30代男性)

 今回の調査では、およそ約3人に1人が「ルッキズム」に基づく不当な扱いを経験し、それは、学校や職場など“集団で過ごす場”で起こりやすいことが分かった。決して少なくない人が日常生活の中で直面している問題といえるが、近年の「反ルッキズム」の動きによって、これらは改善しつつあるのだろうか。

7割が「見た目による差別はなくなっていない」と回答

 昨今の反ルッキズムの流れによって、各地で“ミスコン”が縮小傾向にあるのは周知の事実だ。ところが、「ルッキズムによる差別はなくなりつつあると感じているか」と尋ねると、「感じている派」13.8%に対し、「感じていない派」は76.7%。実に7割以上の人が、普段の生活において「見た目による差別はなくなっていない」と感じていることが分かった。
※感じている派…段階評価で「感じる」「まあ感じる」を合わせた割合/感じない派…段階評価で「感じない」「あまり感じない」を合わせた割合

※感じている派…段階評価で「感じる」「まあ感じる」を合わせた割合/感じない派…段階評価で「感じない」「あまり感じない」を合わせた割合

▼“見た目”による差別はなくなりつつあると感じる?
・感じていない派76.7%
「ミスコンが廃止されようと、就活では顔を見られるし婚活でも中身の前に顔と年齢が見られるし、ルッキズムはなくなる気配はない」(神奈川県30代女性)、「二重であることが望ましいという考えはまだ感じるし、それ以上にネット広告や個人のSNS投稿では綺麗になるための投稿が溢れていて、綺麗じゃない人,キレイを目指さない人はダメという意見を感じる」(兵庫県40代女性)、「女性や子どもに関してはしないように努力していること伝わるが、いわゆる中年男性に対する“(見た目が)おっさん臭い・中年デブ・ハゲ”などは未だあたりまえのように馬鹿にされ続けている」(大阪府30代男性)

・感じている派13.8%
「20年くらい前は、痩せ型ではない、ぽっちゃりさんやおデブさんと言われる人がミニスカートを履いたりすると、『大根足を出すな』『見苦しい!』と男性にフツーに言われたが、今は着用して堂々と歩いている」(埼玉県40代女性)、「テレビなどでも見た目イジリは減っているし、そういう内容を嫌う傾向は強くなっているように感じる。また、渡辺直美さんのブランドをはじめ、洋服などもどんな体型でも自分が好きなものを選べるようになってきていると思う」(東京都20代女性)、「『ルッキズム』について広く知られるようになり、人々の意識が変わりつつあると思うから。特にTwitterで政治家等の有名人の発言が炎上しているのを見かけるので」(香川県50代女性)

 また、今回の調査では「反ルッキズム」の考え方そのものに疑問を呈する意見も多く聞かれた。

「“外見で人を判断する”ということを一括りに悪とすることに疑問があります。整った外見に生まれつくことは才能ですし、それを磨くことは努力だと思います」(兵庫県30代女性)、「外見も人を判断するためのひとつの要素であるということを無視する風潮が好きではない。外見だけで判断するのは良くないが、外見(みだしなみ)も含めて人を判断するのは当然のこと」(東京都40代女性)、「美しいものに惹かれるという生物的本能があると思うので、そういう区別は誰もがしている。どんなことでも一人一人に違いがある以上、差別自体が無くなることはありえない」(東京都30代男性)

 外見が“最重要”とする考え方は明らかに偏りがある。「ルッキズム」による過度なダイエットなど健康被害も懸念されている。ただ一方で、「見た目」が相手を判断するひとつの物差しであることも事実だ。SDGsの目標のひとつ「人や国の不平等をなくす」につながる考え方として広がりを見せる「反ルッキズム」だが、今後、どのように浸透していくのか、今はまだ過渡期と言えそうだ。

【調査概要】
調査時期:2023年3月7日(火)〜3月13日(月)
調査対象:計1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ】会員20代〜50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ(https://omr.oricon.co.jp/)

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