ホーム お悩み&コンプレックス > ホワイトニングの落とし穴、手軽なセルフと医療機関どっちを選ぶ? リスクと注意点を専門医に聞く

ホワイトニングの落とし穴、手軽なセルフと医療機関どっちを選ぶ? リスクと注意点を専門医に聞く

2023-08-30 eltha

 かつて「芸能人は歯が命」というCMの名台詞がありました。歯の色は口元の印象を大きく左右するものです。歯の色が黄ばんだり、くすんだりすると、笑顔に自信が持てなくなる人もいるでしょう。近年は、自宅でも手軽にできるホームホワイトニングが、人気を得ています。そこで、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違いや有効性、リスクと危険性について、専門医に聞きました。

個人で効果や持続期間が異なるため、定期的なメンテナンスや日常生活の注意が必要

 歯が黄ばんでいると清潔感がないように見られたり、老けて見られたりと自信喪失にもつながります。白く輝いた歯は、見た目やコミュニケーションなどの自己表現の向上だけでなく、口臭の軽減にもつながります。そこで注目されているのが、美容効果が高いと評価されているホワイトニングです。

 ホワイトニングは、歯の表面に付着した着色汚れを除去したり、歯の内部に浸透した色素を分解したりすることで、歯を白くする方法です。すべての色素を除去したり分解したりすることはできないため、歯本来の色以上に白くすることはできません。そのため、ホワイトニングでは個人差が大きく出ます。また同じ方法でも、人によって効果や持続期間が異なるため、定期的なメンテナンスや日常生活の注意が必要です。

 ホワイトニングには、歯医者で行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングの2種類があります。オフィスホワイトニングは、高濃度の薬剤と光やレーザーを使って、歯科医師や歯科衛生士が施術する方法です。一方のホームホワイトニングは、低濃度の薬剤を入れたマウスピースを自分で装着して行う方法です。

 どちらの方法も、メリットとデメリットがあります。ホームホワイトニングは、価格は抑えられますが、時間を要します。また、自己責任で行うことになるので、リスクや危険性に注意しなければなりません。それぞれ特徴や効果が異なるため、自分に合った方法を選ぶことが重要になります。

歯科医の判断なくホワイトニングを行うことで、虫歯が悪化する可能性もある

 ホワイトニングの過程で、歯の表面の保護膜が一時的に溶けたり、歯の神経が刺激されたりすることがあります。その結果、歯が冷たいものや熱いものにしみやすくなったり、間欠的な痛みを感じたりすることがあります。これは知覚過敏と呼ばれる現象で、通常は24時間以内に回復しますが、症状が強い場合や長期間続く場合は、歯科医師に相談する必要があります。

 またホワイトニング剤は、歯の表面についた色素を分解して白く見せる働きをしますが、そのためには漂白剤と同様に強い化学薬品(過酸化水素やカルバミドパーク素)が使用されます。過度にこれらの薬品を使用してしまうと、歯の表面(エナメル質)が剥がれる可能性もあります。

 オフィスホワイトニングでは、高濃度の薬剤と光やレーザーを使って施術しますが、その際に歯茎や口の中の粘膜に薬剤が付着すると、炎症や火傷を起こすことがあります。そのため、歯科医師は歯茎や粘膜を保護する処置を行います。

 一方のホームホワイトニングでは、低濃度の薬剤を入れたマウスピースを自分で装着しますが、その際に薬剤の用法や用量を守らないと、同様に歯茎や粘膜にダメージを与える可能性があります。また、市販のホワイトニング剤や海外から個人輸入するような漂白剤を使ってしまうと、成分や濃度が不明確であったり、安全性が確認されていなかったりすることがあります。そのような漂白剤を使ってしまうと、歯や口腔内に重篤なトラブルを引き起こす可能性もあります。必ず歯科医師から処方された漂白剤を使うようにしましょう。

 さらに、歯科医師から指示された時間や回数を超えて使用すると、歯や歯茎にダメージを与える可能性があります。特に、漂白剤が歯茎や口の中の粘膜に付着すると、炎症や火傷を起こすことがあります。そのため、漂白剤を適量塗り、歯茎や粘膜に触れないように注意しましょう。漂白剤の用法と用量を守ることが大切です。

「ホームホワイトニングでトラブルを起こさないように注意する点は、歯科医師に指示された着用時間を必ず守るということです。着用時間が短いと期待できる効果が出ませんし、長すぎると歯がしみるなどのトラブルが起きます。また、着色がつきやすい食べ物は控えましょう。例えば、コーヒー・赤ワイン・カレーなどです。当院では、漂白力が高くかつ知覚過敏になりにくい製剤を取り扱っており、定期的なメンテナンスや指導を行います。何かあればすぐに歯科医師に相談することが良いでしょう」

 ホワイトニングは基本的に健康な歯に対して行うものです。しかし、虫歯や歯周病などの歯の病気や、詰め物や被せ物などの人工物がある場合は、ホワイトニングを行うことで悪化する可能性もあります。特に詰め物や被せ物はホワイトニングの効果が出ないため、周囲の歯と色むらが目立つことがあります。また、妊娠中や授乳中の女性や、まだ歯の成長途中の子どもは、ホワイトニングを避けたほうが良いでしょう。

 歯の状態を理解し、適切な情報と専門家の意見を求めることでリスクを最小限に抑え、ホワイトニングの効果を最大限に引き出すことが可能です。ホワイトニングを行う前に十分な情報収集と判断が大切です。
荻原会理(おぎはら えり)

監修者 荻原会理(おぎはら えり)

2013年、日本大学歯学部卒業。2013年、日本大学歯学部付属病院総合診療科に入局。2014年、日本大学歯学部付属病院歯科保存学第二講座に入局。2019年より日本大学歯学部付属病院歯科保存学第二講座で非常勤医を務める。2021年、共立美容外科・歯科に入職。

Facebook

関連リンク

あなたにおすすめの記事

おすすめコンテンツ


P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ