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「耳掃除はほとんど必要ない」耳鼻科医が明かす“耳あか”の正体とケア方法【専門医監修】

2023-09-26 eltha

 日頃、何気なく行っている耳掃除。その頻度や使用するアイテムは人によってさまざまです。毎日の習慣になっている人から、数カ月に1度程度という人、耳かき派に綿棒派…。個人の好みで良いようにも思いますが、耳鼻科医の甕(もたい)久人さんは「耳掃除はほとんど必要ない」と指摘します。それでは、耳の中のお手入れはどのようにすれば良いのでしょうか。意外と知らない耳掃除の基本を専門医に聞きました。

身だしなみとしての耳掃除でもケアしていいのは「入り口まで」

「本来、耳あかは自然に外へ出てこようとします。専門医からの視点では耳掃除はほとんど必要ない、と言っても言い過ぎではありません」

 そう話すのは、もたい耳鼻咽喉科の甕久人院長。“耳あか”は鼓膜や古くなった表皮などに、分泌物やホコリなどが混ざってできたもので、耳の穴(外耳道/がいじどう)を保護する大事な役割を担っています。自浄作用によって、自然と体外へ排出されるため、積極的なケアは不要とのこと。とは言っても、たまった耳あかを人に見られることに抵抗を感じる人も少なくありません。

「身だしなみのひとつとして行う場合でも、乾いた耳あかは月に1回程度、湿った耳あかの方でも2週に1回程度に。どちらも綿棒で行ってください。また、重要なことは耳の入り口のみの掃除にとどめておくことです。“入口”は耳の穴の手前1/3です。産毛が生えている、柔らかい感触のするところ。それより奥は骨の上に一枚皮膚が載っているだけの部位(骨部外耳道)であり、掃除中に硬い感じがする部位がそれにあたります。とても繊細な皮膚で傷がつきやすいため決して触ってはいけない部位です」

 耳あかのタイプにはカサカサの乾性耳垢(かんせいじこう)と、ベタベタした湿性耳垢(しっせいじこう)の2種類があり、日本人の約8割は乾性耳垢だそう。この遺伝的に決まる耳垢のタイプによって、甕院長が推奨するお手入れ頻度と方法は下記の通り。

▼耳垢タイプ別のお手入れ方法
【乾性耳垢の場合】
月に1回程度。綿棒で外耳道の入口までにある耳垢をそっと取り除きます。綿棒は奥に入れないようにします。耳掃除をする前に温かいタオルで外耳道を温めると、耳垢が柔らかくなって取りやすくなります。

【湿性耳垢の場合】
2週間に1回程度。綿棒で外耳道の入口までにある耳垢を拭き取ります。綿棒は奥に入れないようにします。入浴後は耳垢が柔らかくなっていますので、かえって耳垢を押し込んでしまう可能性があります。入浴直後の耳掃除はしないほうがよいでしょう。

 『ついつい毎日やってしまう』『寝る前の習慣』という人も多い耳掃除。最後に、耳掃除をしすぎることで生じるリスク・トラブルについてうかがいました。
 
「耳掃除をしすぎると思わぬトラブルを引き起こします。耳あかは自分ではどこにたまっているかわからないはずです。それを掃除するということは部屋を暗闇の中で掃除するようなことと同じです。自分では掃除のつもりでも奥へ耳あかを押し込んでしまうという事態になりかねません。いったん奥へ入ってしまった耳あかは自然に出てくることはまずありません。またついつい心地よい部位を何往復も綿棒、耳かきでこすってしまう方も多く見えます。これはかゆい部位を引っ掻いていることと同じこと。かならず傷となります。かゆみも治まらなくなります。耳掃除はあくまでも入り口のみにとどめることです」
甕 久人(もたい ひさと)

監修者 甕 久人(もたい ひさと)

「もたい耳鼻咽喉科」院長。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医、日本聴覚医学会会員。名古屋市立大学医学部卒業後、大学附属病院ではがんを専門に研究、豊橋市市民病院にて臨床経験をつんだのち、地域に根ざしたクリニックの実現のため「もたい耳鼻咽喉科」を開業。

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